Answer 41 


「水くせーよな、戻ってきてるなら連絡すりゃいいのに」
「ごめんね、なんか帰国初日からずっとバタバタしてて」

昼間法的な問題を抱えているので会いたいと言われたことを思い出し、一度会社に戻ってみると、総二郎が手配した車が停まっていた。
総二郎に連絡を取ると、類もあきらも日本に戻ってきていると聞かされ、日本にいる滋や桜子、優紀を含めた全員が忙しい中駆けつけてくれていた。
実は法律関連の話は建前で、ちょっとしたサプライズだったと聞かされつくしは懐かしい友と一緒に、つかの間の楽しいひと時を過ごしていた。

「なんかずいぶん顔つきが変わったよね、牧野」

類がつくしの顔を舐めるようにして覗き込むと

「なんか暫く見ない間に”デキル女”になっちまったよな」

あきらも驚いた表情でつくしを見た。

「滋さん、桜子…、優紀もなんかホントごめんね。ずいぶん心配かけちゃったね」
「ほんとだよ!大学も辞めちゃって連絡は取れなくなるし、ニッシーに聞いたら司とも別れちゃっ…」
「滋さん!」

司の名前が滋の口から飛び出したことでその場が一瞬凍り付き、それまで黙っていた桜子が慌てて制止した。

「やだなぁみんな。そんな腫れ物に触るみたいな態度しちゃって。道明寺とのことはさ、きちんとあたしの中で決着して消化できてることだし気にしないでよ」
「でも、今つくし道明寺にいるんでしょ?」
「あ、そうなの。弁護士資格を活かせるって意味ではこれ以上ない職場なんだよね。まあたまに道明寺と顔を合わせることはあるけど、別に気にならないよ」
「ほんと?」
「ほんとだって滋さん。そりゃさ、最初はどうなんだろうって不安はあったけど、けっこう平気なもんだよ。すっかり過去のことだって思えてるし大丈夫!」

女性陣がつくしを取り囲むと、総二郎とあきら、そして類はそれぞれの思いを持ってその光景を眺めていた。

「どうなってんだよ、総二郎」
「俺が知るかよ」

つくしが日本の司法試験を突破した時まで、つくしのことを一番傍で見守ってきたのは総二郎である。しかしだからと言ってつくしが今何を思いこの場にいるかなどわかる筈もない。

「無理…してるよね、牧野」

離れていてもつくしのことを常に気に留めていた類らしく、強がっていることを見抜いているようだ。
とはいえ、総二郎もあきらも、そして女性陣3人でさえそのことには気づいている。

「牧野もだけど、総二郎もなんか変」
「はぁ?俺が?」
「うん、なんか知っててどうにもできないって顔してる」
「マジかよ総二郎?」

今の総二郎が他の5人よりも多く知っていることが飛びぬけて多いわけじゃない。
日本にいる間のつくしの苦悩を少しだけ目にしただけのことで、決して共有したわけでもなかったし、つくしから詳細を聞かされているわけでもない。
つくしが北海道へ行く直前に、自分の中でモヤモヤとしたものが芽生えたことは否定できなかったが、それでも一時のことでそれ以上特別な感情を持ち続けたという自覚はなかった。

「まあ牧野が今充実してるっていうなら、別にいいんだけどね…。なんならそのうち花沢に引き抜いちゃおうかな、うちも弁護士はほしいし」
「俺のところにも…」
「あきらのところはその筋の専門弁護士じゃないと無理でしょ?」
「類…お前な…」

類もあきらもそれ以上深くは聞いてこなかったが、類がそんな風に感じていたことに驚いた総二郎は今後無関心を装うしかないと思い、大きく息を吐いた。


******


「西門さん…」

ふいに呼び止められて振り向くと、優紀が立っていた。
優紀と顔を合わせるのも久しぶりのこと。総二郎は笑顔で応じた。

「久しぶりだね、すっかり美人に変身してるから最初わからなかったよ」
「相変わらずお上手ですね」

クスリと笑う優紀に以前のような弱さはなかった。
いや、元々弱さなどなかったのだろうが、優紀なりに社会に揉まれ、自信を身に着けたに違いない。

「あの時と同じ顔してますよ」
「あの時?」

コクリと頷く優紀の目を見て、総二郎は過去の恋のことを指摘されていることに気が付いてしまう。

「よくわかんねーけど…あの頃よりもっといい男にはなってるつもりなんだけど」
「はぐらかさないで。つくしを見る目がサラさんを…」
「やめようか、優紀ちゃん」

優紀のまっすぐな瞳が総二郎には怖かった。
言いかけた言葉を遮ってはみたが、優紀が感じた自分の変化は総二郎自身が誰よりも自覚していた。それを封じ込めてこの場にいると言うのに、これほどまでにまっすぐな瞳で自分を見透かし、そして話を蒸し返してほしくはなかったのである。

「いいんです、西門さんが何を考えていようとあたしには関係のないこと。でもあたしもうつくしが苦しむ姿を見たくない。だから、つくしを救ってあげてください」

―救う?

「えっと…それは牧野が助けを求めてきたら、ってことだよね?当然だよ、俺たちは親友なんだし」
「ええ。そうですよね…それはわかってます」
「余計な心配は無用だよ」

ニコリと微笑み優紀の前を通り過ぎた。









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2 Comments

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2018/12/14 (Fri) 08:08 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

こんばんは。
お話が本格的に動きはじめる前に総ちゃん視点で少しお話を書きました。
当て馬を類じゃなく総ちゃんに決めたときは、こんなに難しいとは思ってなかったんですけど、司の彼女だから手を出せない、というより一人の女性を本気で好きになることを必死で堪えてる様子が伝わってればいいなと思ってます。

2018/12/14 (Fri) 22:18 | REPLY |   

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