Answer 36 

楓の容体が落ち着いたのは夜になってからだった。
体力が落ち衰弱もしているためこの1か月が山場だと医師から告げられる。

この事実をLAにいる椿に連絡を取って話すと、すぐに日本へ向かうとの返事を受けた。
長く病床に就いている司の父には容体が悪化したことは伏せ、司には絶対に知らせないでほしいと言う楓の本意はわからない。
それでも少しでも長く、そして仕事のことなど忘れて穏やかな時間を過ごして欲しいと願うばかりだった。

病院を出て道明寺邸に戻るとまずはタマを部屋まで送り届けて、つくしも屋敷を出るため廊下に出た。1日楓に付きっ切りでさすがのタマも疲労の色が濃く、見送りを固辞して帰ろうとした。

途中で顔見知りのお手伝いさんがいたので少し立ち話をしていると、正面玄関のほうがザワザワと騒がしい。

「あ、司様がお帰りになったみたいです。牧野様、それでは私も…」
「あ、はい。行ってください。また来ると思いますのでその時また!」

彼女は笑顔を見せた後、すぐに表情を硬くし玄関へと向かった。

ひとり残されたつくしだが、今玄関へ向かえば司と鉢合わせしてしまう。
どうしたものかとしばらくタマの部屋近くの廊下で時間を潰し、玄関付近の騒ぎが落ち着いたころを見計らって道明寺邸を出ようとした。

「なんだ…お前…」

想定外の出来事だった。
なんとつくしの斜め前に見える部屋のドアが開くと、そこから屋敷の主、司が出てきたのである。

一番出会いたくなかった人間を目の前に、つくしは体を硬くした。
こちらを透明人間扱いしてくれればどれだけ楽かと思っていたのに、つくしの願いに反して司が目の前に立ちはだかり

「なんで弁護士がうちにいるんだよ、何が目的だ?」

そんな風に吐き捨てた。
つくしがここへ来た目的を話してしまえば、司に楓の状態を知られてしまう。

「西田さん…そう!西田さんに送るように頼まれた書類をタマさんから受け取って…これから帰るところです…」
「ふん…」

かなり苦しい言い訳だったが、司は興味なさそうにつくしから視線を外す。

「では私はこれで…」
「ちょっと待て」

玄関へ向かおうと会釈をしたところで司にそう言われて足を止めると振り返った。
すると数メートル後方にいたはずの司がつくしの目の前に立ち、冷ややかな目で見つめている。
その瞬間背筋が凍り付くような感覚に襲われ、つくしは身を強張らせた。

「お前、どうやって帰るつもりなんだよ…」
「ば、バスと電車で…」

道明寺邸から帰ろうとするとバスと電車を使うしか交通手段がないのは確かだ。
司は左手首にはめられた腕時計を見て

「こんな時間にバスも電車もあるかよ、バカか?」

そう吐き捨てた。

「1時間もあれば着きますし、歩いて…」

ドンッ

壁に背中を勢いよく押し付けられ、突然の衝撃に顔をしかめた。

「いたっ、何するっ…!」

壁に押し付けられたつくしの全身に覆いかぶさる勢いで、司は両腕を壁に置きつくしを冷たい目線で見下げている。
つくしは現在自分が抱えている訴訟関係の書類や内容証明に書かれている女性が司によってどのような被害を受けたかを思い出し、ゾッとする。
次の瞬間、司はつくしの細い腕を掴んで一番近くに会った部屋のドアを力任せに開け、部屋に放り込んだ。

―ヤバイ…

司は右の口角を上げてニヤリと笑い、ジリッジリッとつくしを部屋の中央へ追いやって行く。瞳には怯えるつくししか映し出されておらず、表情からは感情が感じ取れない。

「な、なんで…すか…?」
「脱げよ」

―やっぱり

このまま司の言いなりになれば、ボロキレのように弄ばれた上に裸のまま屋敷から放り出されるのは目に見えてる。
さすがのつくしもそれだけは避けたいが、体格差や力では敵わない。

「こんな夜中に人んちをうろつくお前が悪い」
「な、うろついてたわけじゃ…」

司の不敵な笑みはつくしに恐怖しか与えない。
とにかくこの場から逃げなければ自分も多くの女性と同様の扱いを受けると思い、右の拳に力を込めて司の鳩尾を目がけて力いっぱい突き出した…はずだった。

右だけでなく左の手首も強い力で掴まれ、高く持ち上げられて頭上で纏め上げられてしまう。

「んんっ!」

そして次の瞬間、目の前が真っ暗になる。

つくしの知る司の唇は、いつでも優しかった。
でも今つくしに重ねられている唇は、乱暴で噛みつくように荒々しく別人のよう。
変わっていないコロンに違和感を覚えるのは、タバコの匂いがプラスされ、大人の匂いに変わっていたからだろう。

「やめっ…やめてくださいっ!」

一瞬の隙をついて司の胸を両手で突き飛ばし、その場から逃げ出そうとドアへ走り出す。
でも力では司に敵うわけもなく、簡単に腕を掴まれると、今度は強引に部屋の奥へと連れて行かれて、キングサイズのベッドに放り投げられた。

「キャッ!」
「今更カマトトぶんのもいい加減にしろよ。どうせ総二郎にも簡単に股開いたんだろ?」
「に、西門さんって…それ…」

確かに総二郎とは今でも頻繁に連絡を取り合ってはいるが、決して男女の関係ではないし文句を言われることも、ましてや疑われる筋合いもない。

「サイテー…」
「お前ほどじゃねぇけどな」

その言葉にどんな意味があるのかはわからないが、確かに2年前のつくしは司にしてみれば最低の女だったに違いない。

あっという間に上着を剥ぎ取られ、キャミソール一枚にされてしまった上に、ベッドのアイアンに両手を縛られて身動きが取れなくなった。
もがけばもがくほど手首に紐が食い込みつくしを絞め上げていく。

「やめて…やめて…!」

嫌がるつくしを無視した司は、身に着けていたものを脱ぎ捨ててつくしの体にのしかかる。
そして耳元で

「どうせなら、楽しもうぜ…」

そう囁くと、細い首筋に舌を這わせ始めた。









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2 Comments

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2018/12/09 (Sun) 11:24 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

こんばんは。お返事遅くなり大変申し訳ありません。

昨日の興奮で、今朝のはだいぶ冷静なコメント(笑)明日はどうなるんでしょうねぇ?ねぇ??
きっとご想像通りの展開ではないかと思いますよ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ

INDEXページは少しフライングでリンクを貼ってますので(もちろん未来記事は見れませんが)勘の鋭い方ならわかるんじゃないかな?

今日はブロとも申請がとても多かったです。皆さんのご期待に応えられるか心配になってきました。
ちょっと怖い…

2018/12/10 (Mon) 00:13 | REPLY |   

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