Answer 24 

総二郎から挑発とも受け取れる電話を切ったあとの司は、誰の目から見ても自暴自棄になっていた。
数か月間仕事に没頭していたと言えば聞こえはいいが、違法スレスレとも脅しとも取れる無謀な取引を重ね、わずかばかりではあるが業績は上向きになるも、司の私生活は反比例するかのように荒れていた。

司自身、それで満足していたわけではなかったが、どうにもならない歯がゆさとつくしのいない虚しさに感情を制御することが出来なかったのである。

「山本、今日も頼む」
「…かしこまりました」

2週間に一度のペースで司は山本にこの言葉を投げかける。
山本はこの言葉を複雑そうに受け止め、スマートフォンを操作するしかない自分に自問自答することもあった。それでも上司からの命令には逆らえず、言われた通りの手配をするしかない自分に情けなくなる。


******


マンションに到着すると、シャワーを頭から浴びて素肌にバスローブを付けただけの姿で強めの酒を一気に煽る。

『そんな飲み方してたら、体によくないよ!』

どこからかそんな声が聞こえたような気がして振り返るが、部屋には自分ひとり。幻聴まで聞こえるようになったかと、司は自分自身を嘲笑う。
どれだけ飲んでも酔うことはなく、ただ浴びるように飲んで浅い眠りを繰り返すのが彼の日常になりつつあった。

ピンポンと来客を告げるチャイムが鳴ると、司はめんどくさそうにモニターへ向かい、山本の顔を確認すると開錠した。

暫くして部屋のドアが開き、失礼しますと言って山本が部屋に入ってきた。
ひとりの女を引き連れて。
山本はその女だけを部屋に残し、静かに出ていった。

「あのぉ…」

小柄で華奢な体つき、目は大きく肩につくかつかないかの黒い髪。
日本に残してきた誰かを思い起こさせるような風貌の女が、目の前に立っていた。
よくもNYでこんな日本の女を見つけてくるなと、鼻を鳴らす。

「はじめまして道明寺さん。水越あゆみです。あゆって呼んでくださいね!」

単に自己紹介をしただけなのに、どこか媚びていて甘えるような声にうんざりする。
司は女を見て軽く吐き気を催したが、見た目は合格か、と気を取り直し女に告げる。

「脱げ」
「えッ」

突然意味も分からずただ「脱げ」と言われた女が戸惑うのは当然だろう。
しかし、女はすぐに自分が司に見初められたのだと思い、

「ここで…ですかぁ?」

そう上目遣いに司を見つめる。

―違う…

女のことをろくに見ることもなく、早く脱げと吐き捨てる。女は着ていたものをひとつひとつ外していき、キャミソール一枚になったときに再び

「これで…いいですかぁ?」

そう甘ったるい声で聞いてくる。

「全部だよ、早くしろ」
「エッ…でも…まずシャワーを…」

ドカンっ

テーブルに置いてある大理石の灰皿を壁に投げつけると鈍い音と共に壁に大きな凹みができた。

「ヒッ!」

女は慌ててキャミソール、次いでブラとショーツも脱ぎ捨てて胸と下腹部を隠すようにして司の前に立って見せた。

「隠すなよ、全部見せてみろ」

言われた通りに恐る恐る手を除けると豊満な乳房と、黒々とした茂みが視界に入る。
ベッドに行けと促し横たわらせると、自分もバスローブに手をかけ女に覆いかぶさろうとした。

しかし

その先へと進んでいく気になれない。

「あの…」
「帰れ」

女が何かを問いかけようとしていたのを制すように言い捨てた。

「え?」
「もういい、帰れ」

最高の男に見初められたと舞い上がり、言われた通りに脱いで見せたにも関わらずそのまま帰れと言われて引き下がれるわけもなく、女は

「そんな…」

と司に縋るように言う。
司は立ち上がって女のほうに歩み寄ると、女は司が気を取り直してこのまま抱いてくれると思ったのか安堵の表情を見せた。
ところが司は女の肩を軽く押すとそのまま後方に追いやった。明らかにベッドではない方向へと追いやられた女の表情は次第に硬くなっていき、司によって開けられた玄関ドアの向こう側へと裸のまま突き飛ばされた。

「キャァアアア!」

そして裸のまま叫び続ける女を無視し、無表情のままドアを閉めると再びにソファに座って再び酒を飲む。

「クソが」

わけもわからずつくしと引き離され、総二郎に暴言を吐かれてからの司は、自分を労わるということを忘れてしまったかのように荒れていた。
眠ることができないので浴びるように酒を飲み、つくしを思い起こさせるような風貌の女を引き入れては脱がせて追い出す。

最初は女をただ抱いて忘れようと思っていただけなのに、どんな豊満な体つきの女を目の前にしてどんな誘惑を受けても、決して欲情することはなかった。

「なんなんだよ…」

つくししか愛せない、つくししか抱くことができない自分をこれほど情けないと思うことはなかった。









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4 Comments

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2018/11/27 (Tue) 07:19 | REPLY |   

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2018/11/27 (Tue) 18:52 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

おや?心臓止まるにはまだ早いですよ!まだ潤くんに会ってもいないのに(笑)

司が荒れまくってる様を克明に書きたかったんですけど、意外に難しくてサラッと流してます。
なんたって20yearsじゃ、庶民化してる司だし、教習所はただのエロだしね…。
ほんと、シリアスって難しいわ。

毎朝スリーさんが踊り狂う様子を楽しみにさせていただいてます。
電車の中で発狂しないように気を付けてくださいね!

2018/11/27 (Tue) 18:57 | REPLY |   

やこ  

なあなあ様

おお、二次から少し離れ気味とお聞きしておりましたが楽しんでいただけているようで嬉しい限りです。
あまり長くし過ぎると、読むほうも大変かな、とか思ったり…。
最初30話くらいの予定でしたけど、ぶっちゃけ軽く超えます(笑)なんたって40話執筆中でまだまだ終わりが見えない状態ですのでww

ご指摘の時間軸ですが、実は複雑にしようと思ったわけじゃないんですよ(笑)
ラブシンの時もそうだったんですが、ダラダラ受験勉強風景を書いても意味ないし、知らない間に数か月飛んでるし(笑)
おもに3人の視点から書かざるを得なくなってしまって、結局時間が飛んだり戻ったりしてしまう状況になってるんんです。

このお話は総つくではありません(キリッ)
今は総ちゃん優しくていい感じですけど、適度に虐めてあげようかと思う今日この頃(笑)

2018/11/27 (Tue) 19:05 | REPLY |   

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