Answer 10 

揺れる波が太陽に反射する光でつくしは目を覚ました。
すでに隣に司の姿はなく、つくしはシーツを手繰り寄せて上体を起こす。

まだ少しの痛みが残る体と、白い肌に残る赤い花びらが昨晩の出来事を夢ではないと証明していた。

パタンと音がしてバスルームから司が出て来るのを見つめていると

「よぉ」

少し照れたように微笑んでいる。

ふたりに残された時間はあと3日。
悔いなく過ごすため、つくしは時間を惜しむようにして起き上がる。

「あたしもシャワー…浴びてもいいかな…」
「ああ、そうしろよ」

きれいに畳まれたバスローブを手渡して、司はウォークインクローゼットの中へ消えた。
ベッドの周囲には衣服や下着が散乱し、それに気づいたつくしは慌ててかき集めて自分のバッグに放り込んだ。
そのままバスルームに入って行くと海を一望できるジャグジーがある。手を入れてみるとちょうどいい湯加減で、軽くシャワーで汗を流した後バスタブに体を沈めた。
目が覚めた直後は少し違和感があったが、今はそれほど感じない。
右手でお湯を掬って左の腕にかけると、昨晩のことが鮮明に蘇る。

確かに恥ずかしかったが、それ以上に絶対に忘れてはいけない夜だと覚悟を決めた。

そっと目を閉じるとまた涙が止まらなくなる。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。

しかしすぐにその思いを打ち消し、今は今日この時間を大切にすることだけを考えようと気持ちを切り替えた。

「おい、溺れてねぇよな?」
「きゃっ」

バスルームのドアを勝手に開けた司が顔を出した。
鼻のすぐ下までお湯に潜って、左手でシッシッ、アッチヘイケと促すが、その姿を面白がった司はなんとバスローブを脱いでジャグジーに乱入した。

「ちょっ…」
「別にいいだろ、そんなジロジロ見ねぇし。そもそも泡で見えねぇよ」

バスバブルは入っていないが勢いよく出る気泡でほとんど中は見えていない。
とは言え司はつくしの背後に回り込み、大きな体でつくしを包み込んでしまった。

「ホントに…マジでのぼせて死んじゃうし」
「その前に出りゃいいじゃねぇかよ」
「アンタより先には出ない」
「何を今更…」
「そういうこと言わないっ!」

触れた部分がお湯以上に熱いのは気のせいじゃないだろう。

「なんか、夢みてぇだな」

司はつくしの肩に顎を乗せ、そのまままっすぐ海を見つめている。
部屋の中で見た光よりも美しく感じ、つくしはウットリと眺めていた。
ザザッという波の音と潮風が美しい光景をより立体的なものに感じさせる。

「キレイだね」
「ああ」
「あたし、この景色。一生忘れないから」
「また連れてきてやるよ」

マタツレテキテヤルヨ

自分たちに「また」はない。
今それを知るのはつくしだけで司は何も知らない。

「そうだね、またね…」

鼻がツンとしてまた涙が流れそうになるのを必死で我慢した。

「ところで、今日は何する?」
「そうだね…」
「どこでも行くぜ」

つくしは少し考えてから

「ねえ、引かないって約束してくれる?」
「引くようなこと言うつもりかよ」
「少なくともあたしが言われたら引く」
「とにかく聞いてから判断する」

そして深呼吸して司のほうを向きなおし、意を決して口を開いた。

「何もしないで、何も考えないで、あんたとずっとこの別荘で海を見ていたい…」









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2 Comments

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2018/11/13 (Tue) 08:56 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

こんばんは。
いつもコメントありがとうございます(o^―^o)ニコ

司とつくしが初めて迎える大人の朝(・∀・)ニヤニヤ
いったいどんな顔してキーボード打ってたんだろと恥ずかしくなりますね。

さて、司とつくしがこの後別れてしまうことはすでにわかっていますけど、何故別れてることになるのか。
あれほど理不尽な要求に従わないと突っぱねていたつくしですけど、どんな心境の変化があったんでしょうねぇ( ノД`)シクシク…
やっぱりこのふたりには試練がないとねっ!(嬉しそう)

もし電車の中で別れを迎えても、叫んだりしてはいけませんよ!

2018/11/13 (Tue) 18:29 | REPLY |   

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