Answer 8 

司に起きる気配がないのでそっとクッションに頭を乗せかえると、足元にブランケットをかけて立ち上がる。朝からろくに食べていないことを思い出し、カウンターにサンドイッチがあったので少しだけ口にしてからバルコニーに出る。

全身に海風を感じながら目を閉じる。

フェンスにもたれかかったまま無心で海を見つめた。
ただ何も考えず…寄せては返す波だけを見つめて。

どれだけの時間海を見つめていただろうか。

フワリと何かがつくしの体を包み込んだ。

「寒くねぇのかよ」
「あ…起きた?」
「バカ、テキトーなとこで起こせよ。爆睡しちまっただろ」
「いや、気持ちよさそうに寝てたからさ」

外気はだいぶひんやりとしてきて肌寒く、つくしは司がかけたブランケットを羽織りなおす。

「ボーっとしてたら寒くなってたことにも気づかなかったよ」
「ボーっとしすぎだろ、入ろうぜ中に。風邪ひくぞ」

コクリと頷き室内へ。

「お腹空かない?あたしはさっきカウンターのサンドイッチいただいちゃった。あんたは?なんか軽く作ろうか?」
「そうだな、着いてからなんも食ってねぇしな。さすがに腹減った」

つくしはキッチンへ向かい、適当に作るよ?と言って冷蔵庫を開けた。
入っている食材は普段つくしが食べるものとは比べ物にならないくらい質も鮮度もよく、これなら大した味付けをしなくてもよさそうだと思った。
貸別荘なのに、不足しているものがないことにも驚き、指示しただけでこれだけのものが揃ってしまうことに驚くし、自分たちが帰ったあと余った食材や道具はどうなってしまうのかが心配になってしまう。
根っからの貧乏性に呆れるばかりだった。

司の為に表立って何かをしてあげられるのはこの4日間だけだ。
家庭に飢えて育ったし、できる限り家庭的な日々を送りたい。

「ボンビー食でもいい…?!」

そう言って振り返ると、つくしの目の前にはソファに座っていた筈の司がいる。
司はつくしが握っていた包丁をまな板の上にゆっくりと置かせ、自分のほうに体ごと向かせて抱きしめた。

「俺、やっぱこうしてたい…」
「でも…なんか食べなき…」

言い終る前に唇は塞がれる。

甘いキス。

何度もしてほしい、そう願ったキス。
優しいキスはやがて深くなり、つくしはもうどうでもよくなって司の背中に手を回す。

―あんなに会いたかった男がいる 何度も夢見たキスしてる…

重なり合った唇は1ミリも離れない。こんなキスは初めてだし、きっとこれからもないだろう。
唇を重ねながら徐々に窓際に移動するふたり。やがて海の見える窓に背中を押し付けられて、ひんやりとした感触に身震いする。
やがて名残惜しそうに離れた唇から

「もう無理…我慢の限界…」

そう司が目を伏せながらつぶやいた。
その表情がとても切なくて、つくしは両手で司の頭の後ろで指を組み

「…いいよ…覚悟…できてるから…」









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2 Comments

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2018/11/11 (Sun) 10:50 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

すでに司と別れることを決めているつくしが、この4日間をどのように過ごすのか。
ここは私も結構時間をかけて考えた箇所です。
明日どうなるのかは…ね(・∀・)ニヤ

実は今まで以上にこのお話は丁寧に書いている気がします。
出来るだけ矛盾がないようにだとか、時系列がおかしくないか、とかね。
それなんで結構公開済のお話を読み直すことが多いんですけど…
ちょっと文字数少なくて、皆さん物足りないんじゃないかと??
人気作家さんのところのついでに読んでくださる方が多いでしょうから、私のところは通過点だろうな、とか思うとこんなもんでもいいのかな…などと考えてみたり。
あとはお話の区切りをどうするかとか…。

にしても少しボリュームは少ない感じなので、これから1話の文字数をもう少し増やしてみようかな、などと思っていたりします。
(わかんないけど)

2018/11/11 (Sun) 22:43 | REPLY |   

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