Answer 4 

「どういうこと…ですか」
「そのままの意味です。いいわ、相変わらず鈍いようだからかみ砕いて説明しましょう。西田、書類を」
「はい」

黒いスーツの男、楓の秘書西田は少し離れた場所に待機していたが、アタッシュケースから黒いバインダーを取り出すと、つくしの前にそれを置く。

置かれたバインダーを楓が開くとそこには道明寺のエンブレム入りの書類が1枚綴じられている。

「英文でわかりづらいでしょうけど、これは道明寺と貴女が結ぶ契約書です」
「ちょっと待って下さい、いったいなんのことだか…」
「貴女の成績と、司法予備試験の結果を調べさせました。その結果貴女を道明寺でスカウトして、日本とアメリカの弁護士資格を取得してもらって道明寺の法務部門の要として活躍していただきたいということです」
「そんな…そんなこといきなり…」
「確かにそうね。ではきちんとわかるように説明します」

楓は一瞬だが顔を右側に背け、コホリと咳をしてからつくしをまっすぐに見つめ直した。

「貴女が経営を学んでいたのであれば、間違いなく司と結婚させて道明寺を支えていただくことになったでしょう…。しかし貴女は経営ではなく法律の道を選んだ…」

楓は静かに、そしてひとつひとつ言葉を絞り出すように続けた。

「司はこの3年間、私たちの期待を大きく裏切るほどの成長を遂げました。しかし、親の贔屓目で見ても、天性の経営センスを持ち合わせているとは言えない…。このまま司が道明寺の頂点に立って大所帯を率いることになったとしても、恐らくいつかは道明寺が道明寺でなくなると私は思っています」
「道明寺が道明寺でなくなる…?」
「ええ。間違いなく道明寺は終焉を迎える。そのことによって引き起こされる損失がどれほどのものか…。道明寺を支える社員を始め、子会社や孫会社、下請け企業などを含めれば何万人という人々が路頭に迷うことになるでしょう」

スケールの大きすぎる話を突然されてもつくしにはピンと来ないが、時折切なそうな表情を見せる楓を見て、今のままでは道明寺の将来が危ういということを理解せずにはいられなかった。

「先ほど言ったように、貴女が経営を学び司を支えるのであれば、私もこれ以上貴女方の交際をとやかく言うつもりもないし、いずれは結婚も許したはず。言っておきますがこれは本心です」
「ごめんなさい…仰る意味が…」
「貴女は法律の道を歩み始めました。そしてその才能は計り知れない。優秀な貴女ならわかってくださると思いますが…」
「別れろと仰るんですね?道明寺と」
「さすがね。その通り。でも勘違いなさらないでいただきたいの。決して以前のように貴女の生い立ちやご両親の経済力云々が気に入らないから別れろというわけではないわ」
「…」

あまりに非現実的な話をされて、つくしはひと言も言葉が出なかった。

「先代から受け継いだこの道明寺を、司の代で潰してしまうわけにはいきません。ですから司の右腕…いいえそれ以上の才能と素質を持つ女性と結婚させるつもりです」

―そういうことか…

ここまで聞いてやっと楓の言いたいことが理解できたつくしだった。

「仰ることは理解できました。結論は簡単に出せませんが、こちらからも質問させてほしいことがあります」
「どうぞ…」
「経営の話とあたしへのスカウトが、どうしても結びつかないんです。矛盾してますよね?」
「そうね、司とは別れろ、でも貴女はほしい」

楓の言うことはつくしが言いたいことそのものズバリだった。
そして何故か含みを持たせるような言い方で続きを話し始めた。

「我々も、いつまでも現役で道明寺を支えられるわけじゃないの。必ず世代交代をしなければならない時が来る。その時の為に…司を外側から支えるために私は貴女が欲しいの」









拍手ボタンにオマケがあります
今日の運試し再び


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

あなたのポチが力になります
応援お願いします!
関連記事

2 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/07 (Wed) 08:07 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

今日は健康診断(笑)お金下ろすのに、銀行きてますがATMがまだ開いてない(笑)待ち時間に返信です。

はい、スカウトきました!
でも雲行きかなり怪しいですよね😏
まだまだ4話ですから展開はわかりませんよ!
シリアスって難しい。サクサク書けないのが辛いです(笑)

2018/11/07 (Wed) 08:39 | REPLY |   

Leave a comment