Answer 2 

「いい?ここは数学の中でも特に重要!今度の定期テストじゃ、ほぼここしか出ないと思ってもいいからね。高校入試でも間違いなく出る単元だから絶対に落とさない。復習に力を入れておくこと!今日みたいな解き方じゃ、応用問題は時間切れになりかねないから、時間を計って解き始めるといいと思う」

つくしがそう言って授業をまとめた直後、終わりを告げるチャイムが鳴る。
受け持ち生徒の4人はそれぞれ迎えに来た保護者とともに帰っていき、つくしも今日のバイトはこれで上がりになる。

身支度を整えてタイムカードに打刻すると、お先に失礼しますと言って塾を出る。
年度が変わる頃とは言っても、夜の外気は冷たくつくしは身を縮ませて家路を急いだ。
気休めだとはわかっているのだが、両手をこすり合わせて息を吹きかけてみる。

グゥとお腹から音がして、夕飯を何にしようかと考えてみた。
冷蔵庫の中身がほとんど空だったことを思い出すが、財布の中身も空に近い状態であったことに気が付いた。
あまりの情けなさに苦笑いすると、スーパーに寄るのをあきらめて、そのままアパートに戻ることにする。

今いる場所からほんの数分歩いた場所につくしのアパートがある。

アパートの鍵をバッグから取り出そうとして少しもたついていた時に、背後からプップと短めに押されたクラクションが聞こえて振り向いた。

ワインレッドで落ち着いた色合いではあるものの、アスファルトに吸い付きでもしそうなフォルムのスポーツカーがつくしの横に停車する。ゆっくりと窓が開くと、右手をハンドルに添え、左ひじを窓に乗せてこちらを見る西門総二郎がいた。

「お疲れ。バイトの帰り?」
「西門さん、やだお疲れ様!そう、さっき終わって今帰るところ。西門さんは?これからデート?」
「あのなぁ牧野。俺の顔見りゃデートデートって…。それ以外にねぇのかよ」
「う~ん…ないなぁ…」

ガクッと首を落とすとため息ひとつ。

「家のヤボ用の帰り!悪さしないできちんと家に帰ります!」
「へぇ、珍しい…」
「あのな…」

そして右手の親指を立てて横に振り

「乗れよ、飯でも食いに行こうぜ」
「無理。財布がカラ」
「知ってるよ。お前の財布にカネが入ってることのが珍しい」
「ほんっと失礼ね…」
「来いよ!”いつも通り”に奢ってやるから」
「結構です…グゥ…」

頭と体の意思がこれほど違うことほど腹立たしいことはない。
貧乏はプライドも持っちゃいけないのかとつくしはため息をついた。

「気にすんな、出世払いでいいから」

どれほどの人間に成長すると出世したことになるんだろうかと思いつつ、諦めて車の右側に回って助手席に乗り込んだ。

「食いたいモンある?」
「なんでもいいっす」

バンッと助手席のドアを閉めたと同時に、総二郎の車は走りだす。
数秒でつくしの住むアパートの前を通過し、景色はすぐに見慣れないものへと変化していた。

「へぇ、うちのすぐ先にこんなお店があったんだ…」

最寄り駅から自宅までの間にバイト先はあるし、自宅から駅とは反対方向へはほとんど向かったことがない。駅からアパートまでの間で生活に必要なものはほとんど揃うこともあって、見慣れない風景に見とれていた。









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2 Comments

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2018/11/05 (Mon) 17:42 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

こんばんは。

総ちゃんお早い登場です。
ちょっと書き溜めてあるので、まだ2話なんだ…先は長いなと思ってしまいました(笑)
この先どうなっていくのか、この世でまだ私しかいない(・∀・)ニヤニヤ (∀`*ゞ)エヘヘ

限定記事の件、ご心配とご迷惑をおかけしております。
優しくいろいろと聞いてくださるので、ついつい甘えてしまうわぁ(笑)

2018/11/05 (Mon) 21:56 | REPLY |   

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