20years 負けてたまるか! 後編 

3周年祭り最終日!

司はチケットをゲットできるのか?





数日後

1本のメールを受信し中身を確認した司は、踊り出したい気分だった。
ネットで探し当てた怪しい業者から、東京会場のチケットを2枚譲りたい旨の連絡がある。

振込先に多額のポケットマネーを投入し、あとは返信されてくるのを待つだけ、なのだが、待てど暮らせどメールは届かない。
問い合わせをするためにメールを送るがエラーで送信できず、電話もつながらない。

ここでやっと司は詐欺に遭ったことを悟るのである。

詐欺に遭ったとわかった時の司の落ち込みぶりはまるでこの世の終わりのようであった。
そこにカリスマ経営者の姿はどこにもない。

翼もあちこちあたってはみたが空振りでどうにもならない。
ギブアップして母と妹に頭を下げるように勧めようと思ってはいるのだが、エベレストよりも高いプライドの持ち主にそんなことをさせるのは酷だろう。

「父さん…もう諦めよう。どれだけやっても無理なものは無理なんだよ」
「まだ手段はあるはずだ」
「でももう今日はもう帰ったほうがいいよ。俺も可奈が待ってるしそろそろ帰る」
「ああ…もうこんな時間か。そうだな、また明日あたってみるしかないな」

翼が社長室を出たあと、司もすぐにジャケットを羽織って外に出た。
社長室のすぐそばにはFC本部のフロアがあって、残業していたスタッフが

「社長、お疲れ様でした」

と声をかけるのだが、司にその言葉は届かない。

「ねえ、社長大丈夫かな…なんか亡霊みたいだったけど…」

司が帰宅すると妻と娘は新たに手に入れたと思われるライブDVDをリビングの大画面で視聴中。しかも振り付け真似しながらという気合の入れようだ。

「ただいま」
「あ、おかえりー💜💚」

司は自分が仕事を放り投げてチケット探しに奔走した挙句、詐欺に遭っているというのに、チケットを欲しがっている張本人たちの能天気さを目の当たりにして、ついに爆発してしまう。
妻に至っては画面に釘付けで、『投げキッスして💜』などと書いてある紫色の巨大な団扇を振っている。

「ケッ、ケツの青いガキのどこがいいんだか」

そんな司のひと言にカチンと来たつくしは

「いいじゃない、これくらいの楽しみがあっても」

などと喧嘩腰。

「バカみてぇに騒ぎやがって、いい年してバカじゃねぇのか?」
「なんですって?!」

そしてギャーギャーと喧嘩が始まるのだが、傍にいたつぐみはまるで他人事のようにウットリと画面を見つめて

「アイダちゃん、カッコ良すぎ」

などと目をハートにしている。

その間、壮絶な夫婦喧嘩は繰り広げられていたわけだが、その時つぐみのスマホがチリンと鳴った。

「あ…!」

取っ組み合いの大喧嘩中の夫婦はその声に一瞬動きを止めた。

「どうしたつぐみ」

司がつくしを放置して、つぐみに近づくと

「パパ、でかした!」

と涙目になりながらそう言った。

「それはどういう…」

すると涙腺が崩壊したつぐみがマンションの壁を突き破らんばかりの大声を張り上げ、

「復活よパパ!パパ名義の2枚が復活当選したの!!!」





「なんだとぉおおおおおぉ!?」


******


復活当選の喜びの余韻をそのままに、夫婦は寝室へと向かう。
冷戦状態だった夫婦は、その間背中を向け合って眠っており、寝室で視線を合わせることすらなかった。
結局司は自分の力でチケットを手に入れるという幸運には見放されたが、勝手に名義を使われて入会していた分の申し込みで、復活当選という栄光をつかみ取る結果となった。

「司、いろいろと手を尽くしてくれたみたいでありがとうね」
「いや、大したことはしてねぇよ」

つくしはいとおしむように、司の胸に手を当てて甘えてみる。
司はその手を握って応える。
そのまま顔を近づけると、どちらも今夜は長い夜になりそうだと覚悟を決めた。

「しかしわかんねぇもんだな、あんなに手を尽くして大損までしたのに、自力で当選とかな…」

ピクッ

脱力して司に寄り添っていたつくしの手に一瞬力がこもる。

「大損…ってどういうこと…?」
「あ、いや、なんでもねぇ。こっちの話だ」
「ねえ、そう言えばさ、どんな風に手を尽くしてくれたの?」
「まあ一番はネットだな」
「ネットで探せるもんなの?」
「ああ、業者っていうのか?そういのをいくつかあたってみただけだ。空振りだったが…」

それを聞いたつくしはむくりと起き上がった。

「ねえ、もしかして…」
「ん?」
「正規料金よりも高いお金でチケット売りますってやつ…?」
「ああ、そんなのもあったな。結局送られてこなかったが…」
「送られてこなかった…ってことはさ。もしかしてお金払ったりしたわけ…?」
「それは…」
「ねぇ!どうなの?」
「いや…まあ…その…アレだな…」
「ハッキリしなさいっ!」
「払った…結構な金額を…」

「なんですって?!」

甘いムードでいっぱいだった夫婦の寝室は、一気に地獄へと変化した。

一方つぐみは自室で最近飼い始めたハムスター『マサキくん』と会話を交わしていた。
緑色の飼育ケースから『マサキくん』を出すと、掌に乗せて撫でてみる。

「マサキくん。パパとママの部屋がうるさいのはね、仲のいい証拠だから気にしないでね。それより、12月に会いにいくからね💚」

少し離れているにも関わらず、夫婦の寝室の尋常ではない騒ぎがつぐみの部屋まで届くのだが、

「なんだか今日は激しいね…。年頃の娘がいるのを忘れてるでしょ、あの夫婦。でも今日はパパのお手柄だもんね。今夜はママ頑張っちゃうんだろうなぁ…」

つぐみの掌で気持ちよさそうに目を細める『マサキくん』を撫でながら、少しだけ顔を赤らめるつぐみだった。


fin





6日間お祭りにお付き合いくださり誠にありがとうございます。
だいぶ書かずにいましたので、リハビリにはよかったのかも…なんて思っております。

お話を書いて欲しいと言われても、ここ数か月は拒絶反応でPCすら開けません。
もう二度と二次の世界には戻らないような気持ちでいましたが、不思議なことってあるもんですね。
物事のキッカケなんてどこに転がってるかわかりゃしない(笑)
特に拒絶反応も起こさずに一気に書けました。面白いかどうかは別として。

短編だから気楽に書けたのかもしれませんね。


さてさて、今度は短編どころの話じゃありませんよ。
爆弾発言いたしました、新連載についてです。

どうしようかと少し考えましたが、ある程度まとまっていて結末も決めましたので、全部は書き終わっていませんけど公開に踏み切りたいと思います。

え、いつから?

そりゃ明日からに決まってるでしょ(笑)
こういうのはね勢いが必要なんですよ(もにょもにょ…)

ジャンルとしてはシリアスかな。
ロマンスって感じではないし、もちろんコメディであるわけもなく。
実は未知の世界にチャレンジって感じなんです。

そしてタイトルは

「Answer」です。

何が答えなんだよ、って感じですが、とにかく「Answer」なんで今後ともよろしくお願いします(意味不明)

11月3日土曜日朝6:00~ 一応毎日更新の予定ですが、都合によりお休みさせていただくこともあるかもしれません。
予めご了承ください。
途中で拒絶反応起きても、根性で終わらせます。

今後ともよろしくお願いいたします。

そして6日間、3周年祭りにお付き合いくださいましてありがとうございました。

やこ









拍手ボタンにオマケがあります
今日の運試し再び


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

あなたのポチが力になります
応援お願いします!
関連記事

8 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/02 (Fri) 08:10 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

こんばんは。大興奮のコメントありがとうございます。

ははは、予想とどうでしたでしょうか?
激しい夜になるかと思いきや、そうはいきませんですわよ、奥様(・∀・)ニヤ

20yearsは今回の短編祭りで書きたかったんですけど、そこにリクをコラボ(という名の手抜き)させてみました(爆)
キャラがキャラなので、教習所並みのコメディにはできませんでしたけど、クスクスしていただければ嬉しいな。

ほほう、明日はずいぶん早いんですね。
是非張り切って頑張って来てください。
実は息子の出身小学校でも明日お祭りがありまして、息子達卒業生はボランティア参加です。
そして来週の月曜日から4日間、市の中学2年生に義務付けられてる職業体験がありまして、息子を含む中学生3人が私の職場に働きに来るという(笑)
どんな顔して指導すりゃいいんだ💦

そんなこんなで週末からドタバタになりそうな私ですが、明日から「Answer」始めちゃいます。
ほんと、未知の世界って感じのお話で、新鮮だけど不安もあります。
初めてプロットなんて作っちゃったし(゚Д゚;)
夕方にでもゆっくり読んでいただければ嬉しいな。

今後ともよろしくお願いします(^_-)-☆

2018/11/02 (Fri) 17:45 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/02 (Fri) 23:38 | REPLY |   

やこ  

kachi様

こんばんは。
お読みいただき誠にありがとうございました(o^―^o)ニコ

えへ、翼くん優しいでしょ??
って「くん」付けなんてしてるけど、この翼アラフォーですけどね。

ウチには娘がおりませんので、この母娘の盛り上がりをどう書こうかと結構悩みました、というのはぶっちゃけウソで、隣の母娘がEXILEのことで盛り上がってるのを参考にさせていただきました。
男はダメですね。
潤くんがテレビに映し出されるだけで、面白がってチャンネル変える。マジでムカつくので飛び蹴りの制裁です。

さて、明日から無謀にも書かないと宣言していた新作の公開が始まります。
今回嵐コンの件ではいろんな方にお骨折りいただきました。
そのお礼という意味も兼ねまして、皆様に捧げたいと思います。

実は公開するのが怖いですが、なんとか頑張りたいと思います。

2018/11/03 (Sat) 00:04 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/03 (Sat) 10:52 | REPLY |   

-  

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2018/11/03 (Sat) 13:33 | REPLY |   

やこ  

さとぴょん様

え、そうかな(笑)
司って意外と知らない間に詐欺に引っかかってそうじゃないですか?
だってお金持ってるし(笑)

でもこのお話は庶民になった司のお話ですから、やっぱり変わってるのかも、( ̄∇ ̄;)

2018/11/03 (Sat) 20:04 | REPLY |   

やこ  

えりりん様

こんばんは。コメントありがとうございます。

喜んでいただけてすごく嬉しいです。
20yearsは結構皆さんに褒めていただいた作品なんですけど、コメディにしてカッコ悪い司くん書いちゃったので、怒られるかなと(笑)
いや、怒ってる人いそうだけど(笑)

スタート時点で40歳と39歳、つぐみが高校生設定ですから間もなく還暦ですね。しかも孫います(笑)

いくつになってもふたりはラブラブな気がします。

2018/11/03 (Sat) 20:07 | REPLY |   

Leave a comment