Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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ラブ・シンドローム 101

さすがに夜中に船を出してもらうわけには行かないと、類はそのまま道明寺とともに診療所に泊まり朝方本島へ戻って行った。
道明寺は待合室のソファで寝たようだがアタシが起きた時にはすでに姿が見えなくなっていた。

アタシにしては珍しく道明寺からの提案も悪くないと思い始めていて、前向きに考えようとしていた矢先の辞令だった。
きっと道明寺もそんなアタシの変化に気づいてはいたはずだ。それだけに、辞令に従うアタシを見て失望したはず。
いつまでも「好き」だという気持ちだけを持ったまま煮え切らない態度でいるよりも、キッパリ離れたほうがよかったんだと思う。
離れて再会はしたけれど、結ばれないのがアタシ達の運命なんだと。

「せっかく素敵な先生が来てくれたとみんな喜んでたんですけどね。若い男の先生もいいけど、やっぱり細やかな気配りは男性と女性とでは違いますからね」

この島の人たちとは、アタシがこの島を出てしまい、再び上陸することがなければ会うことはない。
数か月間母のように慕いお世話になった北山看護師とも間もなくお別れだ。

「大丈夫ですよ、また花沢先生が来られるわけだし安心してアタシもここを離れられます」
「いいんですか?道明寺さんのこと」
「え?やだなぁ、北山さんまたそうやって揶揄うんだから!アタシもアイツもそれなりに大人ですし、間違いだってありますよ!もうほんと忘れて!!」
「牧野先生…」

北山は終始寂し気な表情で何かを言いたそうだ。
でもそれを聞いてしまったら決心が揺らぎそうでアタシは敢えて話題を逸らしている。

「一生の別れじゃないですよ。日本に戻ったら真っ先に会いに来ます」
「先生、後悔はダメよ…」

大丈夫、もう決めたんだし後悔なんて絶対にしないよ…。


***


元々それほど多くない荷物。
島へ渡ってきた時と同じだけの荷物をスーツケースに詰め込んで、アタシは今成田空港の国際線出発ロビーに立っている。
類は島を離れることができないため、再び会うことを約束して港で別れてきた。
たった1年という短い期間で最高の医療を学んで帰国する、アタシの選んだ道を理解してくれた道明寺が空港までの送迎を買って出てくれた。

手国の直前まで一緒にいるのは、正直複雑な気分だ。
でもそんな気持ちも少しの間だけ。向こうに着いてしまえばそんなことを考える余裕なんてきっとない。

「おい、そろそろ時間だぜ」
「え?あ、もうそんな時間?」
「そろそろ行かねぇと、飛行機行っちまうぞ」

搭乗手続きを済ませてセキュリティチェックへ向かえば、送ってきてくれた道明寺ともお別れだ。
道明寺が高校を卒業してNYへ発つときは、4年後の再会を夢見つつ寂しいながらも晴れやかな気分だった。
今のアタシ達は、お互いのことを大切に思ってはいるが将来の約束もしていない曖昧な関係だ。
もしかしたらもう会えないかもしれない。
例えそうでも仕方ない、と思える大人になっている。

搭乗手続きも終わり道明寺とはいよいよお別れだ。

「それじゃ…行ってくるね」
「ああ、気をつけてな」
「うん、アンタも元気で…」

次に会うときには、立派な産婦人科医になってるはず。
一緒にいられなくて…本当にごめんね。



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