2017_05
19
(Fri)18:00

20years 父と娘の距離 3 

「ほら、噂をすれば…だよ!つぐみ!」

直に言われて店の入り口を見ると確かに生田隼人の姿が見えた。

「ほんとだ、ちょっと行ってくる!」

そう直に言ってから隼人に近寄るが、次に目に飛び込んできた光景を見て固まってしまった。

「生田くん…」

厚化粧をした露出の激しい女性が隼人の腕に絡みつき、隼人も嫌がることなく密着している。慌てて柱の陰に隠れたつぐみは息を殺して隼人の様子を見るしかなかった。

「隼人最近付き合い悪いらしいけど、彼女が出来たってホントなの?」
「彼女ぉ?ああ、あの昔の大財閥の娘のこと?」
「すっごい、大財閥の娘なの?お金持ってるんだぁ?」
「それが全然、うちのオヤジが金くれねーからなんかゴチになってヤラせてもらおうと思ったけど門限9時だぜ?顔はめちゃイケてるんだけど親がケチみてーで飯も食えねーしソッコー別れるわ」
「隼人わっるー!清純なJKにそこまでやる?」
「清純なJKなんて今どきいるかよ」

そのやり取りを聞いていたつぐみはよろよろと直のいる場所に戻った。

「つぐみ、生田君とこ行ってきた?」
「え?あうん」
「連れてくればよかったのに」
「なんか友達と一緒みたいで…あたし、今日は帰るよ」
「なんでー?まだ来たばっかじゃん」

隼人の姿やあんなセリフを直接聞いてしまい、とてもこの場にいることはできなかった。

「ごめん、なんか風邪気味で…」
「そっかー、それじゃ気を付けて帰りなよ?」
「うん…」

直と離れ、なるべく隼人と距離を置きながら店を出ようとすると

「パパ…」

いるはずのない父、道明寺司の姿がそこにあった。

「どこだ?」
「ちょ…なんのこと…?」
「とぼけるな、生田病院のドラ息子だ」
「知らないよ…」
「ここに来たのはそいつに会うためなんだろ?」
「違うよ、直に誘われたから…」
「大河原のバカ娘か…どこだ?」
「直はあそこ…」

つぐみが言い終ると同時に直の姿を見つけた司は、わき目も降らずに直を目がけて突進していく。

「つぐみ!」
「お兄ちゃん!」
「父さんは?」
「あ…直のとこに…」
「ったく…」

翼が司の姿を捉えると、直に詰め寄り何かを聞き出している様子だった。
そして直が指差す先にいる人物を確認すると、そのまままっすぐ歩きだした。

「え、パパ…」

つぐみが弱々しい声を出し翼がその目線の先を見ると、つぐみとそれほど年の変わらない男の腕を強引に掴んでそのまま店の外に引きずり出す司の姿が見えた。

「まったく…つぐみ、行こう」

兄に促されるまま父の向かった場所へ歩きだした。
賑やかな店を一歩出て路地裏へ。

「おい、生田病院の息子だな」
「どなた?」
「生田隼人だな?」
「っていうかおっさん、誰?」
「道明寺司だ」
「道明寺……って!!」

すぐにつぐみの父親だとわかったようで、一瞬怯むがすぐに開き直り

「つぐみのお父さん?ああ、心配しないでください、つぐみとはすぐに別れますから」
「そりゃありがたい。是非今すぐに別れてもらおうか」
「俺には親が決めた婚約者がいるんですけど…つぐみがどうしてもって言うからちょっとだけ付き合ってみただけなんで…なんにもしてませんからご心配なく」
「ああ、それも知ってる」

司は終始無表情。
その様子を見ていた翼は鳥肌が立った。
何をしでかすかわからないあの目。以前一度だけ見たことがあったがあれは確か自分たち家族を守らなければならない場面だった。

「いいか、オマエは未成年。ということはその監督責任は保護者にある。オレはオマエに危害は加えないが、これからオマエの親といろいろ話をしなければならない」
「え、親は関係ないじゃないですか!」
「言っただろう、オマエはまだ未成年だと」
「そりゃそうだけど…」
「これは日本の高校生の平均的な額の小遣いだ。オマエにやるから二度とつぐみには近づくな」

そういって司は隼人に茶封筒を手渡した。
受け取った封筒をすぐに開けた隼人は

「5000円か、シケてんな」

小声でそう言ったが司に聞こえていたかどうかはわからない。

「おい翼、つぐみ。行くぞ」
「なんだよ、知ってたの?」
「親をナメんな」

それだけ言うと店を出た。少し歩くと見慣れたコンパクトカーが停まっていて、

「ふたりとも乗れ」

無表情で司が言う。
翼とつぐみが黙って車に乗り込むと、そのまま静かに走り出す。

ところが

家とは全く正反対の方角へ向かっており、つぐみはわけがわからない。

「パパ…どこ行くの」
「黙ってろ」
「つぐみ、静かにしてたほうがいい」

翼は司がどこへ行こうとしているのか、一連の流れでだいたいの予想はついていた。
店を出てから20分くらい走っただろうか。
20時を回っているというのに、煌々と灯りの点いた建物の地下に車は入っていった。

「ここって…」
「そんなことだろうと思ったよ」









拍手ボタンにオマケがあります
今日の運試し再び


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

あなたのポチが力になります
応援お願いします!
関連記事

8 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/19 (Fri) 18:22 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/19 (Fri) 21:06 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

この小僧、ムカつきません?書いてて何度ブン殴ってやろうかと思ったことか(笑)

司くん、いいパパしてると思いませんか?翼ともすっかりいい親子関係を築いている(と想像)

愛する人が増えて暴走することもありそうですが「らしさ」が表現で来ていれば上出来かな!

2017/05/19 (Fri) 21:44 | REPLY |   

やこ  

kachi様

見た目はつくし、イメージはどこにでもいる女子高生という感じで書いてます。
司くんかなり年取ってからの娘で溺愛してる設定ですので、背実な翼とは違って生意気なところがあるかと。
なので当然男を見る目もマダマダ。これに懲りていい男に出会えるといいなと思いつつ書きました。

2017/05/19 (Fri) 21:47 | REPLY |   

やこ  

じゅんこ様(拍手コメ)

かっこよく書けてますか??
どっかヌケてるけどきちんと親もやってるよーっていうのが伝わってればこのお話はハナマルです(⌒∇⌒)

2017/05/19 (Fri) 21:54 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/20 (Sat) 00:18 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/20 (Sat) 07:49 | REPLY |   

やこ  

かなた様

そうです!エロいだけじゃなくカッコいいんです。
惚れ直しそ❤

2017/05/20 (Sat) 20:05 | REPLY |   

Leave a comment