2017_05
18
(Thu)18:00

20years 父と娘の距離 2 

「なんだこの報告書はっ!オマエ仕事を舐めてんのか!?」

今日の社長はいつにも増して機嫌が悪い。
社長と直接関わるスタッフのため息の多さにさすがの翼も少々ウンザリ気味である。

「ねえ、社長どうしちゃったの?いつもの数倍機嫌悪いよね?」
「母さんとつぐみのことで喧嘩したみたい。朝母さんからメールが来た」
「そうなの?つぐちゃんになんかあったの?」
「ほんとにつぐみと父さんはそっくりだよ。つぐみも高2だし喧嘩しないほうがおかしい。多分そこに母さんも巻き込まれてるって感じだと思う」
「なるほど…お義母さまも大変ね…」

FC本部で怒鳴り散らす父を極力避け、専務室に戻った翼と可奈。

「どうもつぐみに彼氏ができたみたいで、一緒に歩いてるところを目撃したらしいんだ。あれだけつぐみを溺愛してるんだしどうなるかは想像できるよ」
「なるほどね…修羅場だわ…大変…」
「こっちにとばっちりが来ないように気を付けるけど、可奈も父さんに何か言われたらすぐに言いなよ?」
「大丈夫だよ私は」
「大事な奥さんですから、きちんとお守りしなくては」
「何言ってんのよ」

それだけ言うと翼は可奈に軽くキスをする。
本当はもっと密着したいところだけど、専務室でそんなことをしたら大変なことになるのは翼も自覚している。

「続きは家で」
「もう…」

25で付き合いだし26で結婚、ふたりの子供にも恵まれて今年38歳になる翼だが、可奈への愛情は今でも変わらない。
性格は母親にそっくりで鈍感な上に物事を複雑に考え込むことも多いのだが、ひとりの女性を一途に愛するところは父親にそっくりだった。

「オイ、翼!今日はオマエ等うちに寄れ!これは社長命令だ!」

ドカンと専務室のドアが開き、父である社長がそう言い捨てて出ていった。

「続き…今日はできそうにないね…」
「そ、そうだね…」


***


久々の実家だと言うのにこの居心地の悪さは何だろう。
普段は恥ずかしいほど仲のいい父と母の間には険悪なムードが漂っていて、司がソファに座ればつくしは席を立ってキッチンへ。つくしが戻れば司が寝室へというように、ふたりそろって落ち着かない。
しかも妹のつぐみは自室にこもったまま一切顔を出そうとしない。こういうときにつぐみの話を聞くのが可奈の役目なのだが、今回は可奈がいても部屋から出てこようとしないし、可奈が部屋のドアをノックしても反応がない。
こうなると特にできることもないので帰ろうとするのだが

「まだいいだろ」
「ご飯食べて行きなさい」

そんな感じで引き留められてしまう上に子供達を人質に取られ帰してくれそうにない。

すると自室にこもりきりだったつぐみが部屋から出てきて

「ちょっと出かけてくる」

とポツリ。

「おい、どこに行くんだ?」

父の呼びかけを無視して出かけていってしまった。
その光景を見ていた翼と可奈は、今回は少し根が深そうだと顔を見合わせた。


***


「つぐみ―やっと来た!」
「直、ごめんお待たせ」

大河原直に呼び出されてつぐみはクラブに来ている。
大音量で流れる激しい音楽、フロアで踊る若者たち。最初に来たときはつぐみも衝撃的だったが、数回来るうちに慣れてすっかり馴染んでしまった。

「どう?つぐみ、生田君優しい?」
「うん、すっごく」
「もうした?」
「何を?」
「アレに決まってんじゃん、ア・レ!」
「え、まだだけど」
「ええっまだなの?早くバージンなんて捨てちゃいなさいよ、痛いのなんて最初だけであとは超気持ちいいんだから!」
「直はもう気持ちがいい段階までいってんの?」
「当たり前でしょ、あたしを誰だと思ってんの?」

先日やっと手をつないでもらったと飛び上がって喜んだばかりだ。
もちろんセックスへの興味や憧れはあるが今のつぐみには恐怖のほうが大きいし、隼人とはゆっくりと進んで行きたかった。

「そういえば永林の人たちも後から来るって!もしかしたら生田君も来るかもよ?」
「え、こういうとこ来るってイメージないけど」
「来る来る!絶対にくるはず」

自分はこういう場所に出入りしていながら、隼人がこんな場所に来るはずがないと勝手に思い込んでいた。

「ほら、噂をすれば…だよ!つぐみ!」

店の入り口に生田隼人の姿が見えた。


***


「そうか、やっぱりな。わかった。また何かわかったら知らせてくれ」

誰かから連絡が来て寝室に入っていった父が、通話を終えてリビングに戻ってきた。声のトーンはいつも通りだが、寝室に入る前と後で表情が違うことに気づいた翼は、

「何かあったの?仕事の電話?」

仕事の電話であれば自分にも関係はある。ところが司は首を横に振ると

「仕事とは関係ない。悪いがちょっと出かけてくる」

と玄関へ向かった。するとリビングからつくしが現れて

「何よ、そんなにアタシの顔見るのが嫌なわけ?なら帰ってくんなっつーの!」
「ちょっと、母さん…」

喧嘩腰で食ってかかる。
カチンと来た司は司で

「うるせぇ!ガタガタ言うなっ、つぐみを探してくんだよ、いちいち突っかかるな!」

とますますエスカレートし、つくしはつくしで

「娘ひとりマトモに育てらんなくて悪かったわね!アンタは立派に育児なさってるんでしょうから仲良く帰ってきてくださいな!!」
「なんだと!?」
「父さんも母さんもいい加減にしてよ!」

空気は最悪、司は力任せにドアを閉め、外に飛び出した。

「母さん、今のはまずいよ」
「いいのよ、アタシのことバカにして、ほんっと腹が立つ」
「俺、ちょっと様子見てくる。電話はたぶんつぐみに関することっぽいし父さんひとりじゃ心配だから」
「余計なことすることないっ」

つくしはそう言うのだが、司の只ならぬ様子が気になった翼は外へ出ると、コンパクトカーに乗って出かけた父をタクシーを拾って追いかけた。









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11 Comments

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2017/05/18 (Thu) 21:08 | REPLY |   

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2017/05/18 (Thu) 22:01 | REPLY |   

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2017/05/19 (Fri) 18:22 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

ご心配おかけしました。
まだ少し痛いのですがいつまでもお休みできないので今日は出勤してきました。

どうでしょう、リク通りにお話進んでいますでしょうか?かなり心配ですが一応頑張りました。

残り3話ですがお楽しみいただければ嬉しいです。

2017/05/19 (Fri) 21:20 | REPLY |   

やこ  

kachi様

うちには息子しかいませんが、旦那がウザがられているのは同じです(笑)
私も思春期は父親とは本当に仲が悪くて、無理矢理昔の記憶を引っ張りだしながら書きました。

つぐみの彼氏とのお話は、お気づきの方もいるかもしれませんが原作の「優紀と中塚」をかなり意識しています。
しかし丸コピというわけにもいきませんのでそれなりに改造はくわえております。

2017/05/19 (Fri) 21:33 | REPLY |   

やこ  

うかちゃん様

こんばんは、はじめまして!いつもお読みいただき、さらに拍手までいただきありがとうございます。
アクセスなどのキリ番はなかなか皆さん申告されないのですが、もうそんなにいったのかーと感慨深いですね。

感謝の気持ちを込めまして記念にリクエストなどございましたらコメント欄より遠慮なくお申し付けください。
多分今はお話をガンガン書けるモードなので今のうちに…。
細かい設定などはこちらで考えますので、サラッとで結構です(^▽^)

今後も応援よろしくお願いいたします。

2017/05/19 (Fri) 21:39 | REPLY |   

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2017/05/20 (Sat) 00:45 | REPLY |   

やこ  

うかちゃん様

コメント拝見いたしました。リクエストをありがとうございますm(__)m

えー、第1希望は委員会献上のあの問題作、いや迷作の続編ですね。
実は多くの皆様からあの続編を!ということでお話を頂いているんですが、「書かない」のではなく「書けない」というのが率直な答えです。
総二郎と結婚しているつくし、という設定ですので、私としては「総つく」のジャンルに入るかなと思っていて、家庭を持つつくしがこともあろうに司と不倫…。誰の子か気になる…というお声は本当に多かったです。
ですが私はつかつくというCPを愛しており、総二郎との間の子…というのは正直書ける気がしない。しかも司の子だった!としてしまえば当然とんでもない事件が起き、これは短編を超えたレベルの壮大なお話となり私の力量ではとても書ききれない…。
しかもご存知の通りあのお話はエロの巨匠aoi様との合作で、ストーリーを考えたのは私ですが、エロイ描写はすべて彼女が考え出したもの。現在彼女は創作活動をお休みしておりますし、「続編書こうぜ」というわけにも行かずどうにもならない状態なのです。
どちらにしても問題作。大変申し訳ありませんが続編は皆様の妄想でお願いします、としか言えません。機会があればとは思うのですが、それがいつになるかはとても明言できそうにありません。本当にごめんなさい。

で、第2希望ですがRをご希望とのこと。
私の持つどのお話とも関係のない短編でのRということでよろしいでしょうか?
私の書いたRをお読みいただいたことがあればおわかりかと思いますが、他の作家様の微Rレベルが私の激Rです(笑)もちろんカギ付きです。
クチュとかピチャとかそういう表現を使いこなせない、というかとても苦手でして(読むのは大好きです)そういった表現がなくてもよろしければなんとかひねり出してみたいと思います。最悪「朝チュン」です(オイ)
あきらはメイド、総二郎は原作読見返さないと思い出せない、類はたぶん静(一部の類つく作家様にぶっ飛ばされます)という固定イメージが私の中でございます。類以外ならなんとかいけるかなとも思いますが、司とつくしじゃないのでノリノリで、という感じではない気がします。

結論
第1希望はごめんなさい
第2希望は条件付き

特に問題なければ第2希望で作ってみたいと思います。
何かあれば第3から第5(爆)遠慮なくお申し付けくださいませ。前向きに検討させていただきます。

2017/05/20 (Sat) 01:25 | REPLY |   

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2017/05/20 (Sat) 10:05 | REPLY |   

やこ  

うかちゃん様

第1希望、ご希望に沿うことができず大変申し訳ありません。
第2希望と第3希望の中間あたりでなんとか鍵をかけずに公開できる方向で頑張りたいと思います。
少々お時間いただければと思います。

今後とも応援よろしくお願いいたします!!

2017/05/20 (Sat) 20:10 | REPLY |   

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2017/05/20 (Sat) 20:33 | REPLY |   

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