2017_05
17
(Wed)18:00

20years 父と娘の距離 1 

いつも嵐やMJ情報をくださいますスーパー読者のS様よりいただいたリクにお応えし、20yearsシリーズをお送りいたします。

調子に乗って書いてたらかなり長くなってしまいましたので、6話編成で毎日18時にお送り致します。



ではどうぞ









「行ってきまーす」
「ちょっとつぐみ、こんな早くからどこ行くの?!」

つくしはでかけようとしている高校生の娘に声をかけた。
見ればお気に入りの服を着て、普段はまず履くことのないとっておきの靴を履いている。

「パパには内緒ね、おデイトなの❤」
「え、つぐみ彼氏がいるの?」
「ふふふ、ナイショ」

人差し指を唇に当てて秘密にしようとしているようだが、あの浮かれようだ、きっと彼氏ができたに違いない、バレバレだ、とつくしは思っていた。

「司になんて言えないよ!バレたらどうなるか…。ってつぐみ、アタシはお付き合いするのは反対しないけど、節度を持ってね」

性格がつくしにそっくりな翼とは違って積極的な娘である。何から何まで干渉するつもりはないが、それなりの付き合いを心がけてほしいと願っている。

「あったり前よ!ママみたいに20年もひとりで苦労しながら子育てなんてあたしには無理だもん!」

そういって玄関の向こうへ行こうとする娘を、ため息交じりに送り出すつくしだった。

「こりゃ司には死んでも言えないわ…」


***


「ただいま…」
「おかえりなさい!」

お互いもういい年なのだが、行ってきますとおかえりなさいのキスは欠かさない。
最近なんだか機嫌が悪そうだとは気づいているのだが、家に持ち込まないでおこうとしている司の気持ちを汲んで敢えていつも通りに接することを心がけている。

「お疲れ様、今日も疲れたでしょ?」
「ああ、ちょっとな。つぐみは?」
「え?ああ。お友達と出かけたまままだ帰ってこないの」
「なんだと?もう9時過ぎてんだぞ?電話して早く帰るように言えよ。なんのための門限だ」
「ハイハイ…」

これが彼氏と出かけてるなんて知れたらこのオトコはどうなってしまうのだろうか、とつくしはヒヤヒヤしている。
すぐに寝室に入ってつぐみに電話すると

『もしもしー?ママ?』
「つぐみ、今どこ?そろそろ帰ってきた方がいいと思う、パパ帰ってきてアンタがどこにいるのか電話しろって」
『えー、もうなんなのぉ?これからご飯食べて帰るからパパにはテキトーに言っておいて』
「ちょっと、もう時間も遅いし食事は家で食べなさいよ。これ以上遅くなるとさすがにパパを誤魔化せないわよ?」

少しの沈黙のあと、テンションの下がったつぐみが

『わかったよ…帰ればいいんでしょ?』

と言って電話を切ってしまった。
やれやれ、これをどう司に説明しようとリビングに戻ると

「おい、連絡ついたのか?どこで誰と何してるんだ、つぐみは」
「お友達と盛り上がっちゃったみたいで、これから帰るって…」
「誰とこんな時間まであそんでやがる」
「さあ、誰とまでは聞いてないよ」

すると司は立ち上がり、

「外で待つ」

と家を出て行ってしまった。

「つぐみ…万事休すよ…」


***


「ごめんね、うちはパパがうるさくて…。ここでいいよ、送ってくれてありがとう」
「今度は一緒に夕飯を食べよう、それじゃまた」

つぐみは1か月前に知り合ったひとつ年上で永林学園3年の生田隼人とマンションの前で別れた。学園同士の合同講義で知り合い、その後に行われた懇親会で意気投合して付き合うことになった。
永林と言えば司やつくしの親友で直の母の出身校である。英徳と並んで現在も大企業の子息が通う学園である。
隼人は大きな病院の院長の息子で容姿端麗、成績も優秀だと言う。
会うたびにスマートで紳士的なしぐさをこれでもかと見せつけられたつぐみはどんどん惹かれていった。

―今日は手を繋いで歩いてくれた!次に会うときはキスとかしちゃうかも!

そんなことを思いながらマンションへ向かう。

「オイ、今のオトコは誰だ?」

一瞬にしてつぐみの顔から血の気が引いた。
よりによって絶対に知られたくない人の声が背後から聞こえてくる。

「パパ…?ただいま❤」

なんとか誤魔化そうと明るい声を出すのだが、

「誤魔化しても無駄だ。今のオトコはどこのどいつだ」

目の前の父親の機嫌は最高に悪い。

「と、友達だよ。学校関係の…」
「何が学校関係だ。さっさと来い、話は家で聞く」
「ちょ…そんなに引っ張らないでよ!」

司はつぐみの腕を強引に引っ張り、エレベーターの中に引きずるようにして乗せ最上階のボタンを押した。

―孫もいて還暦近いおっさんだってのに。なんなのこのバカ力!ああっもう、ママ助けて!!

気まずい沈黙は親子と言えどエレベーターという密室では非常に辛い。
後から降りればまた引きずられると思ったつぐみは、司よりも先にエレベーターを降り早足で自宅まで進んだ。

「おかえりなさー……い……」

玄関を開けると母・つくしが困ったように立っている。なぜならつぐみの後ろに般若のような顔をした司がいるからだ。

「い、意外に早かったね、つぐみ」
「早く帰れって言ったのママじゃん」

ふてくされた様子でそう答えるつぐみにすかさず司が

「つぐみ、ちょっと来い」

無表情で呟いた。

小声でつくしが

『あんまり感情的になっちゃダメよ?年頃の娘なんだし遅く帰ることだってあるんだし…』
「オマエは黙ってろ」

ピシャリと吐き捨てる。

もう…知らない…とつくしはその様子を見守るしかなかった。

「もう一度聞く、あのオトコは誰だ」
「友達」
「高校生の男友達はこんな時間まで人様の娘を連れ回すのか」
「なによ、今どき9時ちょっと過ぎたくらいでカリカリしちゃって」
「なんだと!?」
「つぐみ…パパにその態度は良くないよ」
「パパやママだって高校で付き合ってたじゃん。なんであたしはダメなわけ?」

まるで見てきたように言うつぐみだが、そう言われてしまうと弱い。

「ママは経済的に厳しい家だったから仕方なかっただけで…」
「そんなこと言ってるんじゃないよ、パパとママだって高3と高2で付き合ってたんでしょ?エラソーなこと言わないで」
「いいかつぐみ、確かにオレ達はオマエと同じ年に出会って付き合いだした。だが半端な気持ちで付き合ってたわけじゃねぇぞ、きちんと将来を考えた上で付き合ってた。オマエ等もそうだと言えるのか?」
「なにそれ、今どき高校生に将来考えろとか言う?彼は春からお父さんの仕事を継ぐために永林にはいかないで医学部のある大学へ進むの!きちんと将来のこと考えてるけど結婚云々なんてまだまだ先のことじゃん」
「アイツ、医者の息子なのか?」
「そうだよ。生田病院の院長先生の息子」

司は職業柄医療機関との付き合いが多い。
直接の取り引きはないが生田病院と言えばそれなりに大きい病院だという認識がある。
少し調べる必要がありそうだと思っていると

「もういいでしょ!勘弁してよ!!」

つぐみはウンザリとした表情で自分の部屋に閉じこもってしまった。

「司…少し言い過ぎだよ」

つくしがそう言うと

「オマエ、家で何してんだ?仕事辞めて家にいるくせに娘のしつけもできねぇのか?」
「え…なにそれ」

表情を変えた妻を見て少し強く言いすぎたかと思ったが後の祭り。

「そう、そういうこと言うんだ。よーくわかったわよ」
「おい、そういう意味じゃねぇよ」
「どういう意味?アンタがそういうこと言うなら、勝手にしてよ。アンタ達の喧嘩の仲裁に入るなんてもうウンザリだよっ!」
「つくしっ!!」









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3 Comments

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2017/05/17 (Wed) 19:37 | REPLY |   

やこ  

なつ様

こんばんは!コメントありがとうございます。
ご好評いただいておりますこのシリーズですが、本編で結婚してしまった上にすでに40歳くらいのお話なのでお話の中心となるのがオリキャラというなんとも不思議なお話です。
リクエストをいただきまして書くことになったお話ですが、今回は娘のつぐみを中心につかつくの喧嘩というのを書いてみました。
そうなんです、ベタな展開ではありますが1話目で地雷を踏ませてみました(笑)

本日より6日間、お楽しみいただけると嬉しいです。

2017/05/17 (Wed) 21:00 | REPLY |   

やこ  

じゅんこ様(拍手コメ)

こんばんは!いつも拍手コメントありがとうございます。
本当は土日限定にしようかなと思ったんですが、結構好評だしラブシンもお話の重要な場面なので午後更新に踏み切りました。明日の18時にまたお会いしましょう。
女子高生と父親の関係ってホント難しいと思います。うちに娘はいませんが、私自身が娘ですので高校生時代どうだったかな、と思いながら書きました。

2017/05/17 (Wed) 21:03 | REPLY |   

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