Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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ラブ・シンドローム 66

「とにかくすぐに東京に戻って検査したほうがいいと思う。さっきも話したけどここには必要最低限の設備しかないし、何かあっても対応できないの」
「何とか痛みを抑えて持たせることできねぇの?」
「痛みを抑えるのはできるけど、でもそれは根本的な治療じゃないし、悪化する可能性も高いの。たかが盲腸って思うかもしれないけど、甘く見ると大変だよ?」

道明寺はどうも手術には前向きではない様子だ。
ただ投薬で完治するレベルはすでに超えているし、このまま放置するのも危険だ。

「とにかく…ここは単なる診療所で今いる部屋も病室じゃなくて処置室なの。だから入院もできないし…」

今自分がいる部屋をグルリと見回すと、少し微笑んだ。

「確かにここは清潔にはしてても古くて設備もあまり整ってないようだな。無人島開発のついでにオレが寄付でもしてやろか?」
「寄付するなら東京都におねがいします。ここも一応東京都だしアタシは都の職員だから」
「へぇ」
「アンタくらいなら開腹じゃなくて系列病院で腹腔鏡でやってもらうって選択肢もありそうだけど…腹腔鏡なら開腹手術よりも傷は小さくて済むし復帰も早いよ」

道明寺はなかなか首を縦に振ろうとしない。

「わかった、もう少ししたら本島からすごい名医が来るからさ、きちんと診察してもらってダメなら諦めなよ」
「名医?」
「うん、ビックリするほどの名医だよ。っていうかアタシは一緒に仕事したことないけどね」
「名医かどうかはオレが判断してやるよ」

病人を目の前にして不謹慎だけど、こんなやり取りは懐かしく、心地いい。
アタシの勝手で別れたオトコだけど、嫌いになって別れたわけじゃない。
一緒にいて楽しかったことも多かったし、一度は一緒の将来を夢見たこともある。

アタシは納得行かなそうな道明寺に

「いい?決まりね!それじゃもう少し寝てなさい。また来るから」


***


「確かに27歳男性だね。牧野も性格悪いよね、患者が司ならそう言えばいいのに」

類は呆れたように呟いた。
だって…
言えるわけないじゃん、道明寺がこの島に来て虫垂炎で倒れてました、なんて。

「司、何しに来たの?」
「隣の無人島ありますよね?あそこを開発するプロジェクトだそうですよ。極秘らしいですからアタシに聞いたって言わないでくださいね」
「ハイハイ。で?超音波はやったんだね?」
「はい、蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)虫垂炎だと思います。投薬でどうにかなるレベルは超えてると思います」
「なるほど。道明寺グループには系列の病院があるよね確か。そこにカルテ送ってオペがベストだね」
「そう思うんですけど…」
「?」

当の本人が手術に前向きでないことを伝えると

「わかった。今は処置室?俺が説得するよ」

そう言って立ち上がった。


***


学生の頃なら、この奇妙な再会はこじれまくっていただろうと密かに思う。
ただ目の前のふたりのオトコ達の再会を見ていると、やっぱり幼馴染というのは簡単に壊れるものじゃないんだなって妙に感心した。

類が処置室に入っていくと、道明寺はベッドから起き上がって海を見つめていて、てっきりアタシが入って来たものだとばかり思っていたのか、類の顔と変わりようを見て口をパクパクさせていた。
なんだかその様子が可愛くて、つい微笑んでしまった。


「類…オマエ類なのか?」
「本島診療所所長の花沢です。診察しますので横になってください」

類はといえば笑いを堪えながら道明寺をベッドに横たわらせ、着衣を勢いよく捲るといきなり超音波を当て始めた。

「うおっ」

ジェルの冷たさに声を上げた道明寺を見て、我慢できずに吹き出してしまった。

「牧野先生、笑っちゃダメだよ」
「す、すみません…ぷぷ」
「ちくしょ、もっと優しくできねぇのかよ、なんなんだよここの医者は!揃いも揃ってヤブなのか?」
「失礼ですね道明寺さん、僕は医大を首席で卒業した秀才ですよ?牧野先生だって医大で1・2を争う素晴らしい成績で卒業してるし研修も優秀でしたよ」
「ふん」

よく見ると揶揄われているのが恥ずかしいのか顔を赤くしながらアタシ達のいるほうとは逆方向を向いてしまった。

「もういいよ、司」
「なんだよ、医者モードはおしまいか?」
「牧野、診断は合ってる。いい?司、牧野からも説明があったと思うけど、なるべく早く東京に戻って手術したほうがいいよ。このまま放置すると壊疽性虫垂炎っていって虫垂が破裂して腹膜炎を起こす恐れがあるんだ。たぶん気を失ったのは疲れとか寝不足なんかもあってのことじゃないかと思うけど、それでも早く手術はしたほうがいい」



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8 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
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2017.01.12 09:34 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
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2017.01.12 18:24 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
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2017.01.12 22:52 | | # [edit]
やこ says..."スリーシスターズ様"
大人になった3人ですが、学生の頃とは少し違う雰囲気にしようと心がけているんですけど、読んでみるとそうでもないですね(笑)
あまりダラダラ書いても面白くないかなと思って、最近は早く終わらせてしまおうかと思うこともあります。

が、決着させないとね…。

昨夜のテレビガイドのくだり、超ウケました。
2017.01.12 22:59 | URL | #- [edit]
やこ says..."kachi様"
最初はスゴイ病気にしようと思っていろいろ調べたんですよ。
医療系にはつき物ですからね。
でも無理Σ(゚д゚lll)
というわけで盲腸にしてみました。

伏線はりまくりですが、どこまで活かせることやら(゚Д゚;)
2017.01.12 23:01 | URL | #- [edit]
やこ says..."凪子様"
きたきた(笑)類スキー1匹釣れました(爆)

そうね…なんかご褒美あげないとね。でも類君物欲なさそうだし何がいいかしら?

―傷心の類にひとりの女が声をかけた―
「大丈夫?」
「アンタ誰?」
「凪子です」

これでいいかい?(笑)
2017.01.12 23:04 | URL | #- [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
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2017.01.13 00:13 | | # [edit]
やこ says..."なあなあ様"
コメント読んで爆笑してしまいました。
旦那も昔似たようなこと言ってました。前の晩出したら尿タンパク検出されんじゃないかとかね(笑)
マンモグラフィはやったことないんですよ。つくしちゃんなみにまな板レーズンなのに挟めるのかなと思いますよ(汗)
2017.01.13 07:46 | URL | #- [edit]

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