Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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ラブ・シンドローム 54

「こちらが牧野様の現在のご様子です」

牧野とはもう半年以上会っていない。オレの誕生日に別れてから日本に戻ることが出来ないでいた。
会う努力を怠らないと約束したにも関わらず、オレは何をやってんだ?

NYと牧野いる場所は遠すぎた。

時差のせいで連絡を取ることすらままならず、お互いに短いメールばかりで今の状況が見えてこない。
アイツのことだ、勉強とバイトで他のことが目に入らないんだろうとは予測している。
ただ愛するオンナが頑張っている様子が知りたくて、つい東京にいる人間に牧野の近況を調べさせてしまった。

バインダーに収められた報告書は20枚にも渡り、報告を命じてから昨日までの牧野の様子が克明に記されていた。
思った通り日中は大学で学び、夕方は家庭教師のバイトをしているようで数枚の写真が添付されていた。

少し痩せたか?

生活面ではかなり手厚く大学が面倒を見ているというし、飯が食えないことはないはずだ。
貧相な体がますます貧相になるな、と思って見ていたが、どの写真を見ても表情は明るくイキイキしているように見えた。

頑張ってんだな。

きっとオレのことすら思い出せねぇって感じだろ?シャクだけど日本に戻れない以上そのほうがいいのかもしれない。

牧野の大学は男女比が7:3。交友関係にオトコの名前があっても仕方ないのかもしれないが、付き合いのある数名の学生の中には類の名前も入ってる。

正直面白くは、ない。

だがこれはアイツが大学に合格したと連絡をよこした時に覚悟したはずだ。
オレは牧野を信じる。

数枚の写真の中には類も一緒に写っているものもあるが、その多くが他の学生との学習風景だ。

そうだ、心配することは何もない。

オレはアイツを信じて自分のすべきことをこなせばいいんだ。

そう思って報告書のファイルを閉じようとした時だった。
添付された写真のうち数枚が床に落ちた。拾い上げて見てみると牧野が食事をしている光景がそこにあった。
牧野の向かい側にはもう一人いて、楽しそうに笑っていた。

類…。

信じてる。オレが信じてれば何も問題ないはずだ。

頭ではわかっている。

「おい、誰かいるか?」
「ハイ、何かご用でしょうか」
「総務省に連絡を取ってくれ」

次の瞬間、オレは考えていることとは全く異なる行動を取っていた。


***


家庭教師のバイトを終えて寮へ戻りながら、ずいぶん冷えてきたなと感じていた。
もう10月だもんね、明日からは3連休だし特に用事もないからどうしようかなと考えていた。

家族のいる東京にもずいぶん戻ってないし、東京に帰ろうかな。
今ならまだ東京に向かう電車もあるし、連休最終日の最終までに戻ればかなりゆっくりできる。

整備されているとは言っても地方都市だけに周囲はかなり暗くなっており、オンナがひとりで歩くにはかなり心細い。目の前にあるドラッグストアはまだ開いていて、その灯りだけが周囲を照らしていた。
暗い道が嫌で急ぎ足でドラッグストアの前まで歩いた。

すると店から紙袋を持った男性がフラフラと出てきて、アタシにぶつかった。

「大丈夫ですか?どこか具合でも?!」

アタシはその男性を見てハッとした。

「花沢類!?」

アタシの声に気が付いた目の前のオトコは、ゆっくりと顔を上げたが、顔色は悪く呼吸も荒い。
見るからに具合が悪そうで、今にも倒れそうな勢いだ。

「まき…の…?」
「そう、どうしたの?具合悪いの?!」
「…ん…ちょっとごめん…」

花沢類はアタシの肩に手を置いて、苦しそうに息を吐いた。

「熱あるみたいで薬買いに来た…」
「熱?高いの?」

額に手を当ててみると、明らかに熱があることがわかった。
最近はさすがに外で昼寝する暇もないだろうけど、テニスサークルにも顔を出しているみたいだから疲れが出たのかもしれない。

「とにかく寮に戻ろう。アタシが一緒に行くからつかまって!」

道明寺までとはいかないが花沢類も180を超える大男だ。
アタシも最近は体力が落ちてるからちょっと厳しいが、男子寮は目の前だしとにかく休ませないと。

何とか寮のオートロックを解除し花沢類を部屋まで連れてきた。
久々に入ったが、最後に入った時よりも少しだけ生活感があるように感じた。自炊もしている様子が見受けられ、意外としっかりやってるんだなぁなどと思っていた。

当の本人は意識が朦朧としているのか唸っているし、とにかく室内を見回し買ってきた薬を飲ませると、見つけたタオルを濡らして額に当てた。
冷凍庫に氷がないため、こまめにタオルを取り替えなければならない。

医大生とは言っても医者ではないし大したことしかできないのがもどかしかった。



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