ラブ・シンドローム 31 

花沢類はお屋敷から車に乗って来たのだが、元々運転が上手いとは言えない状態にプラスして、ほぼ半年ぶりにハンドルを握るという。
せっかくアロマのお風呂に入ってリラックスしたっていうのに、いたるところから変な汗が滲んでる。
やっぱり電車で行こうと言うべきだったと後悔したけど、当の本人は鼻歌なんか歌ってる。


「そういえばさ、ご両親とは和解できたの?」
「ん?ああまぁね。諦めたっていうのが正解みたいだけど、なるべく時間を見つけて東京に戻るようにってことで一応は解決…かな」
「そっか、良かったね」
「でも年末くらいしか戻るのは難しいかもね。夏休みでさえあんなに忙しかったし。牧野も覚悟したほうがいいよ」
「ははは」


花沢類の運転が怖すぎて、体は硬直し表情が強張っていたようで信号待ちで心配そうアタシの顔を覗き込む花沢類はニコニコしながら言う。


「司の顔見たら、俺帰るね」
「え、そうなの?」
「いくらなんでも数か月ぶりの恋人たちをクリスマスイブに邪魔するほど俺は悪趣味じゃないよ」


いやいや、十分今でも悪趣味だけどね。
空港に到着した道明寺がアタシと一緒に待ってる花沢類を見てどう思うだろう。
今更どうしようもないけど、ハッキリ言って気が重い。


「どう?来月入試だよね?はかどってる?」
「あ、うん。とりあえず年末年始どうなるかわかんないし、昨晩までは必死にやった」
「今年の東京、競争率はどのくらいなんだろう」
「うん…毎年100人前後は志願してるみたい…。花沢類、よく受かったよね」


元々各都道府県から2000人を超える受験者数がいる大学だ。東京は2~3名と言われているけど狭き門に変わりない。
そもそも現役受験だけとは限らないことを考えると、合格判定が出ているとはいえかなりの不安はある。


「試験まであと1か月あるし、とにかく必死でやるしかないね。ダメなら来年またチャレンジするよ」
「うち1本でいくんだね。頑張りなよ」
「ありがとう」


そう、アタシは受験生。
とにかくこの頼りない先輩のいる大学に合格しなきゃ何も始まらない。
ダメならまたその時に考えればいいんだし、とにかく今できる精一杯で挑むしかないんだ。


「あ、飛行機」


成田空港が近づいてきた。
もうすぐ、道明寺が日本へ戻ってくる。




***




「16時50分着予定だったよね?20分ほど早まってもう着陸したみたいだよ。早めに出てよかったね」


コーヒーをテイクアウトしてきた花沢類は掲示板を見ながら呟いた。
この分なら17時くらいにはアイツの顔が見られるかもしれない。


でも


この人の姿を見て怒るだろうか?
別に疚しいことをしているわけではないけど、アイツの性格を知ってるだけに今回は違うドキドキがある。
ただアタシと違ってすっごくオトナになってたし、どうなるかは未知数だ。
あれこれ不安な要素は多いけど、アイツに会えるのはやっぱり嬉しい。
花沢類には悪いけど、ふたりきりになったら甘えてみようかな。


その時は刻一刻と近づいてくる。
到着ロビーが騒がしくなり、スーツ姿の男性数人が物々しい雰囲気でやってくるのが見えた。


アタシのドキドキはマックスで、他のことが考えられないくらいに一点を見つめていた。


「牧野!」


ああ、数か月ぶりに聞く大好きな声。
何も言えず動けず。
ただ大きな胸に抱きしめられていることしかできなかった。


おかえり、道明寺。


「司」
「オマエ、類」
「おかえり」
「ああ、いろいろ、世話になったな」
「やめてよ、気持ち悪いな」


気が付けば恐れていたふたりの再会も、何の問題もなく済んでいた。
心配しすぎだったのかな?
ふたりは親友だもんね、久々の再会だし喧嘩なんてするわけないよね。


「で、なんで類がここにいるんだ?」
「え、ああそれはね…」
「俺が牧野に強引に頼んだの。俺だってこれでも司には会いたかったんだよ?親友だしね」
「一応な」
「そう、ここまで車で乗せてきてくれたの」
「そうか、悪いな類」


ふたりはそのまま少し会話を交わし、再会を楽しんでいるように見えた。


「それじゃ、牧野。俺帰るね。たぶん総二郎達から連絡あると思うけど、そのときにまた」
「あ、うん。本当にありがとう、気をつけてね」
「うん」
「悪かったな、類」


花沢類はそう言って背中を向け、アタシ達から離れて行く。
アタシはブレスレットのことを思い出し、花沢類に駆け寄った。


「ごめん、これクリスマスプレゼント」
「?なに??」
「後で開けてよ。たぶんだけど…癒されると…思うよ」


ニコニコしながらありがとうと言ってこちらを見る。


「それじゃ、いいイブ過ごして」
「え、ああ。うんありがとう花沢類もね」









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10 Comments

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2016/11/14 (Mon) 09:49 | REPLY |   

やこ  

じゅんこ様

ははは、みなさん類くんとつくしちゃんの空気読めない態度にイライラしてしまってますねww
読み手さんには申し訳ないのですけど、こうやって読んでくださる方の感情を少しでも揺さぶることが出来るってモノカキとしては幸せなことなんだと個人的に思うんですよね。

そんなわけで明日と明後日、今度は喜んでいただけるんじゃないかと思うんですけどそのあとの展開は伏線をバラマキまくってますので保障できませんww

2016/11/14 (Mon) 11:20 | REPLY |   

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2016/11/14 (Mon) 11:32 | REPLY |   

やこ  

凪子様

いらっしゃいませ(笑)

なんのガッツポーズww
うちのつくしちゃん、いい仕事してましたか?そうかそうかよしよし。
なんだか凪子さんを掌で転がしてるみたい(・∀・)ニヤ

2016/11/14 (Mon) 12:19 | REPLY |   

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2016/11/14 (Mon) 12:53 | REPLY |   

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2016/11/14 (Mon) 13:58 | REPLY |   

やこ  

kachi様

ほんと、自分で書いておきながらですけど類君はなんのために空港までついてきたんでしょうね。
謎行動が多すぎますけどイメージとしては37巻のつくしちゃんが階段を頭から滑り落ちるお話の雰囲気とお考えくださるとよろしいかと思います。これにラブがプラスされるのと、等身大の18歳女子高生と大学1年生の恋愛ですので、こんな空気感もアリなのではと思いながら書いています。
だけど司くんは大好きなので、私好みの大人の男に仕上げてますし、成長している姿が一番目立つんじゃないかとも思ったりしますね。
明日はモジモジのツカサスキー様にボーナスを。ということで、かなり頑張りましたので是非お楽しみください!

2016/11/14 (Mon) 23:21 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

類くんの運転は、原作よりはマシな感じで書いてみました。
たぶんあの運転じゃ、東京→成田 つくしちゃん失神してしまいます(笑)

本当はギリギリまで空港での猛烈バトルを考えていたんですが、最近ジレジレなので急きょ変更し、明日はツカサスキー様方待望のアレですね。
スゴイ時間をかけて書きましたが、その割に…って感じですけど。
お楽しみいただければ嬉しいです。

メールありがとうございました。
きちんと届いていますが今日の午後はずっと外出していまして返信できませんでした。
寝る前にニヤニヤしながら読ませていただきますね。
とってもウレシイ(((o(*゚▽゚*)o)))

2016/11/14 (Mon) 23:26 | REPLY |   

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2016/11/14 (Mon) 23:36 | REPLY |   

やこ  

チムチム様

お、貴重な「類君カワイイ」派が!
最近類君とKYつくしちゃんが暴走気味でして、イライラを募らせているツカサスキー様多数です。
書いてる私ですらたまに「なんだコイツ」と思っておりますけど(笑)

お気づきかもしれませんが「医者を目指す類とつくし」という設定は韓国ドラマ版から拝借しています。とはいえ丸パクリするわけにもいきませんし原作の空気感をプラスしたラブバトルを書きたいなと思って始めたお話です。
明日の分は苦手分野ですけどかなり頑張って書きました!

2016/11/14 (Mon) 23:52 | REPLY |   

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