ラブ・シンドローム 11 通常バージョン 

限定記事との違いは、変ならくがきが1枚あるかないかの差です。

恥ずかしい(なら出すなよ…)ので限定記事にしてみました。





半年ぶりに見るオトコの顔は少し痩せて見えた。
たぶん寝る時間も惜しいほどハードな日々を送ってるんだと思う。てっきりスーツ姿で現れるかと思っていたのに、道明寺の服装は意外にもラフだった。
示し合わせたわけでもないのに、アタシの着ている服と合ってるのが嬉しくて

「何その格好。アタシに監視カメラでも付けてるの?」

なんて憎まれ口を叩いてみたりする。

「オマエの貧相なカラダを盗撮してどうすんだよ」
「悪かったね!」

なんだろうこの心地よさ。
決して意味のある会話じゃないのに不安な気持ちが全くなくなり愛しさだけがある。半年前までは毎日こんなふうにバカなことを言い合っていたのに、道明寺が旅立ってからぽっかり穴が開いたように空しい日々だった。

道明寺が右手でアタシの左手を取り、右手を自分の胸に置く。そのまま左手をアタシの後頭部に添えると、優しく引き寄せる。

ここはNYで全く知らない土地だけど、アタシはやっと自分のいるべき場所に戻ってきたんだと実感せずにはいられなかった。

そのまま視線を上に向け、会いたくて会いたくて仕方なかったオトコの顔を見る。
そのオトコもアタシの目をジッと見つめ、ゆっくりと顔を近づける。

もう何もする力も残ってないアタシは、目を閉じ黙ってオトコの唇を受け入れた。


***


「キャーっなんか怖いっ!」
「うるせぇ、ちょっと静かにしてろよ!感動の再会が台無しになるような声上げるんじゃねぇっ!」

色気がないのはアタシの専売特許。
道明寺は車を運転して空港に迎えに来たのだが、アメリカは右側通行で車の運転席は左にある。
当然のことなのだが、日本の左側通行や右ハンドルに慣れてるアタシは、助手席の違和感に恐怖を感じている、というワケだ。

アタシはまだ高校生だから運転はしないけど、滋さんが免許を取ってからはよくドライブに連れて行かれて車に乗る機会は多くなっていた。

「前にアンタに乗せてもらった時は、確か無免許運転だったよね」
「そんな昔のことは覚えてねぇな」
「ホントに免許取ったの?ってキャーっ、アタシが乗ってること忘れないでよ!もっと安全運転してっ!」
「オマエが乗ってるから興奮してんのかもな!いつもよりテンション高め」
「またそういうことをサラッと…」

そういうとアタシの左手を取りギアに乗せ手を重ねる。ドキドキする鼓動が道明寺に伝わっちゃうんじゃないかと思いながらも、半年分の幸せを噛み締めていた。

「ねえ、仕事とか勉強とか大丈夫なの?」
「ああ、今日から1週間オフにした。オマエの帰りの航空券も1週間後に手配してあるから心配すんなよ」
「アタシ、ホテルとか全然そういうの取ってないんだけど、どっか紹介してもらえるんだよね?あ、あんまり高いとこは無理だけど」
「とりあえずオレのマンションに泊いくぞ」
「えっ?マンション??」

道明寺がマンション暮らしをしているとは知らず、てっきりあの大きなお屋敷にいるものだとばかり思っていた。

「言ってなかったか?屋敷だといろいろ不便だから会社と大学の中間あたりのマンションに住んでんだよ。まあほとんど寝るだけの部屋だけどな」
「そうなんだ。寝るだけに帰るっていっても食事とかはどうしてんの?」
「朝は食わねぇし、昼も夜も外食とかだな。あとは屋敷から会社に運ばせる時もあるし」
「なんかちょっと痩せたよね。ほんとはろくに食べてないんじゃないの?」
「それなりに、とだけ言っとくわ」

外食ばかりじゃ体に悪い。元々日本でも毎日コース料理みたいなのばっかりで、あっさりしたもの食べてないような感じだったし。

「キッチンはあるの?マンション」
「一応な。なんか飲む時にくらいにしか使わねぇけど」
「そっか、じゃあアタシが家政婦してあげるよ」
「お、久々のボンビー食」
「悪かったね」

こんなどうでもいいようなやり取りでさえ幸せな気分になれるのはどうしてだろう。
アタシはギアの上で重ねられていた左手をクルリと回すと、そのまま道明寺の右手に絡ませギュッと握る。

「ずいぶん積極的だな」
「今だけね。危険な運転したら二度とやらないから」
「ハイハイ」
「それよりどこ行くの?」
「そうだな、マンションに行くには少し早いし観光するったってな。どっか行きたいとこあるか?」

少し考えてみる。前回来たときはわけもわからず過ごしていたし、道明寺との関係も微妙だったからなぁ。

「ねえ、スーパーとかマンションの近くにあるの?」
「あるぜ、行ったことねぇけど」
「アタシお腹空いちゃった。なんか買い物して作るからマンション行こうよ」

ところが道明寺はそれには応えない。
あれ、なんか変なこと言っちゃったかなと思っていると、これまでとは違うトーンで話し始めた。

「いいんだな、マンションに行っても」
「え、いいよ。だって泊めてくれるんでしょ?」
「オトコの部屋に泊まる意味をわかって言ってるよな?」









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