予約セット時刻をうっかり間違えてしまいました。
今更ひっこめられないので、このまま公開します。
定時には10話いく?
どうしようww
―8月―
夏休みも折り返し、アタシは相変わらずいくつかのバイトを掛け持ちしながら忙しい毎日を送っている。
花沢類からはその後頻繁にではないが連絡もあり、順調に学生生活を送っているようだ。大学も夏休みに入っているが先輩や仲間と勉強することも多いようで東京には戻らないと言っていた。
寮の惨劇を思うと、勉強もいいけど掃除にも気を使ってほしいと思ってしまう。
実はアタシが今バイト三昧で忙しいのには理由がある。
夏休みに入ったばかりの頃、突然NYの道明寺から連絡がきて、8月のはじめにチケットを送るからこっちに来いと言われていた。
できればNYにいきたいと思っていてそのつもりでお金を貯めてはいたのだけど、高校生にNY行きのチケットは高額すぎて、今回は変な意地を張らずに道明寺の好意に甘えることにした。
だんご屋のバイトが終わったらそのまま成田へ向かう予定でいる。
明日には半年ぶりに道明寺の顔を見ることができると思うと、時計の針の動きがもどかしい。
まだ半年。会うチャンスがあるなら逃さないようにしたい。たとえそれが一瞬であっても。
「つくし、いい顔してるね」
「は?何よいきなり」
「今夜行くんでしょ?NYに」
「あ、うん。一応ね」
一応?
この日をどれだけ待ち望んだことか。
変な意地を張って『一応』などと言ってる自分がおかしくなる。
「思いっきり甘えてきなよ、半年ぶりなんだし」
「甘えるったってねぇ。アンタアタシの性格知ってておかしなこというね」
そんな会話の最中でもチラチラと時計を見てしまう。
今は13時半。14時にバイトをあがって18時25分発のNY行きに乗る。
控室には数日分の着替えと道明寺から送られてきたチケットが入ったバッグがある。
優紀には口が裂けても言えないけど、本当は時計の針を強引に回してでも道明寺に会いたい。
「甘えられるかどうかはアイツ次第だけど、せっかくだし楽しんでくるよ」
「はいはい」
急にお客さんが入って来て対応に追われていると、あっという間に14時になってしまう。
急いで着替えを済ませて女将さんと優紀に数日休む挨拶をすると店を出た。
「つくし!」
後ろから優紀の叫び声が聞こえて振り返る。そのまま優紀はこちらに駆け寄り小声でアタシに言う。
「ちゃんとこれ使わなきゃダメだからね。ハイ」
そういって紙袋を手渡された。
***
荷物は最小限にとどめた。普通NYにいくなら大型のスーツケースを持つよね。大した量じゃないし荷物はすべて機内に持ち込めるようにした。
幸い向こうは青森県とほぼ同じ緯度で季節は日本と同じ夏。周囲を見ると身軽な状態でNYに行く人の姿はアタシくらい。
道明寺の取ってくれたチケットは、ビジネスクラス。12時間以上のフライトにはありがたかった。
ファーストクラスだったら突き返してやろうと思ったけど、道明寺はビジネスクラスで妥協?したわけだし、アタシも妥協して素直に乗ることにした。
たった半年だけど、こんな些細なことがお互いに成長しているようで嬉しかった。
フカフカのシートに身を沈めると、だんご屋を出たときに優紀に渡された紙袋のことを思い出す。
バッグから紙袋を取り出して封を開けると、中からお菓子の箱のようなものが出てきたのだが妙にカラフルで軽く商品名がイマイチわかりづらい。
「あ、あったあった」
小さな字で書かれた商品名を見て、一気に顔が赤くなる。
優紀…これ、どこでどんな顔して買ったのよ…。
でも。
必要になる可能性は極めて高い。
NYに行くと決めたときにそれなりの覚悟はしてきたし、道明寺もきっとそのつもりでアタシを呼んでるはず。
恥ずかしがることないよつくし!素直に優紀に感謝しなくちゃ。
アタシはコンドームの箱を袋に戻してバッグに入れ、代わりに小さな冊子とシャープペンシルを取り出した。
―大学受験の参考書―
実は夏休み前の二者面談で、医学部受験を決めて担任にその旨を伝えていた。
恐らくこのことを知るのは西門さんくらい。
道明寺にも、花沢類にもまだ知らせてない。
仮にそのことを道明寺に伝えたらどうなるだろうか。
言えばきっと反対するだろうな。今回の旅を楽しく過ごすことなんてできなくなる。
今回の旅は何も考えず、ただ道明寺のことが好きなアタシを楽しみたい。
ズルイ考え方かもしれないけど、今回は内緒にしておこうと思ってる。
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今日の運試し再び
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