ラブ・シンドローム 6 

珍しく西門さんに呼び出されてバイトあがりに指定されたカフェにいる。
約束の時間からすでに10分。なんとなく外を見ているとスタイルのいい女性に手を振って別れる西門さんの姿が見えた。

店に入ってきた西門さんは、アタシの前にドカッと座りブレンドコーヒーを頼む。

「悪かったな、遅くなって」
「デート?今ちょこっと見えたけど」
「まぁな」
「相変わらずお盛んですこと。で、今日は何?珍しいね」

悪びれる様子もなく運ばれてきたコーヒーを口にすると話し始めた。

「お前の担任、阿久津だろ?」
「うん、よく知ってるね」
「ああ、実は兄貴の同級生なんだ」
「え、じゃあ先生もどっかの御曹司なの?」
「いや、たぶん違うと思うぜ。うちの兄貴は交友関係もかなり変わってたしな」

よっぽどアンタ達の交友関係のほうがおかしいよ、と言いたいのを飲み込み話を続ける。

「で、その阿久津先生がどうかしたの?」
「まあ兄貴とダチってことで俺もよく知ってるワケよ。で、お前のクラスの担任になったって聞いて、お前ん家の経済状況を知ってるのかと聞かれた」

それって個人情報を漏らしてることにならない?ちょっと不機嫌になるアタシを気にすることなく話を続ける。

「お前、類の大学勧められただろ」
「そんなことまで漏らすの?あの担任め!」

腹が立ってテーブルを叩きつけるようにして立ち上がると、西門さんが周囲をキョロキョロと見回して、落ち着けと言う。

ただの担任が生徒の個人情報を卒業生で友人の弟とはいえ勝手に漏らすなんてあり得ない。
しかも相手は西門総二郎だ。

「いや、実は医学部の情報を持っていったのは俺なんだよ」
「は?」

このオトコ、何を言ってるの?
なんの意図があってそんなことをするのかと思っていると

「類が入った大学について俺なりに調べてみたんだよ。そしたら類よりもお前のほうが大学の主旨に合ってるじゃねぇか。東京の志願者にとってはかなり厳しいってことだけど、お前の成績ならいけんじゃねぇかと思ったわけ」
「なんで西門さんがアタシの成績知ってんのよ」
「バーカ。今更何言ってんだよ。俺を誰だと思ってんだ」

確かにそうだ。元々気に入らない人なら教師だろうが生徒だろうが辞めさせる権限くらい持ってるオトコだ。

「たぶんお前のことだから、司の為に経営学方面に進むことくらいしか考えてなさそうだし、いくら司が援助するって言っても断るだろ?ちょうど今年類も入学したわけだし、経済的なこと考えてこういう選択肢もあるってことを教えてやろうと思ったワケ」

なるほど。
なんて大きなお世話なの…。おかげでこっちはいろいろ悩みも増えたっていうのに。

「まさかこの一連の話、誰かにしてないでしょうね?特に道明寺とか」
「してねーよ。さすがの俺もこういうデリケートなことはペラペラしゃべらねぇよ」
「美作さんとかにも言わないでよ」
「りょーかい」

おどけて敬礼ポーズなんかする人のどこを信じればいいってのよ。
ひとつため息を付くと、ついでだからこの人に聞いてみようと口を開く。

「この際だから聞くけどさ、西門さんはどう思う?」
「いいと思うぜ。だからこの話を持ってきた」
「そうじゃないよ。道明寺のこと」
「ああ、4年後のことか」

さすがそういうことには敏感ね。よくわかってる。

「うん。たぶんだけど、もし今の関係が4年後まで続いてるなら、アイツは絶対に帰国と同時に結婚を口ににすると思う。そもそも普通に大学に進学したら4年後はアタシまだ学生じゃん」
「まあそうだな。でも学生だからって結婚しちゃいけないわけじゃねぇし、司もたぶんそう言うだろうな」
「例えば医学部に入学したらどうなる?医学部は6年制だよ?たとえ約束通り4年で戻って来てもアタシはあと3年は学生でいなきゃならないし」

いつになく真剣に話を聞き入る目の前のオトコ。アタシが言い終るとニヤリと口角をあげて話し始めた。

「お前さ、自分だけ司の都合で4年も待たされるんだぜ?3年ぐらい待て、くらい言ってもいいと思わねぇの?」
「言えるもんなら言いたいよ」
「まあ司はバカみたいにまっすぐなとこがあるからな。ある程度修羅場になることは覚悟しておいたほうがいいぞ」
「そんなテキトーな…」

そんな風におどけているのだが、目は至って真剣に見える。

元々目の奥が笑ってることは稀だし時々冷静さを通り越すくらいの冷たさを感じることもある人だ。

「真面目に話すが、今も言った通り4年も待たされるお前には司を待たせる権利があると俺は思うね。惚れた女の進む道を自分の思うままにして邪魔するなんてナンセンスだよ」
「でもまだ医学部受験するって決めたわけじゃないし…」
「まだちょっと考える時間はあるし、大いに悩んでもいいんじゃねぇの?俺は牧野が決めた道を応援するね」









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6 Comments

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2016/10/21 (Fri) 09:28 | REPLY |   

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2016/10/21 (Fri) 10:08 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

総ちゃん、とっても優しい人なんだと思うんですよね。っていうかいい人です。
某委員会でとても可愛そうな総ちゃん書いてしまったのでその罪滅ぼしでもあります。

私ムロ氏も何気に好きなんですよね。
NHKの「LIFE」でめっちゃ好きになりました。
でもMJには負けるけどっ。

2016/10/21 (Fri) 12:23 | REPLY |   

やこ  

kachi様

F4ランキングを勝手に開催すれば、という仮のお話ですけど。

実は私、あきらが結構好きです。
彼氏や旦那にするなら絶対あきらです。

ちょっとアブない遊びをするなら総ちゃんかな。いろいろ知ってそうだし。

類はね、ちょっと別格かな。
原作じゃ仙人みたいでしょ?とにかく傍にいてくれたらなんにも言いません。

で、公言している司くん。

私には残念ながらモテ期がまだ来ていません。
というかもう来ないうちに死ぬでしょうね。
もしかしたら旦那に先立たれて老人ホームで〇〇爺さんと△△爺さんとのラブバトルに巻き込まれる?(;´・ω・)
で、何が言いたいかといいますと、モテ期があるとすればこんな男に攫われたいのです(意味不明)

さて、つくしは医学部に進むんでしょうか?
医学への道は厳しいです(知らないけど)
類君、頑張ってほしいです(頑張らせます)

2016/10/21 (Fri) 13:27 | REPLY |   

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2016/10/21 (Fri) 16:43 | REPLY |   

やこ  

さとぴょん様

総つく…また高いハードルを…。

っていうかNFの第3話はほぼ総つくで書いたんですよね。
総ちゃんに告らせちゃったし(笑)。

そして一度委員会にも投下してる。

じゃ、イケますかね?
イキます?

機会があれば、ということにしておいてください。

2016/10/22 (Sat) 00:32 | REPLY |   

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