Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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ラブ・シンドローム 2

「医学部?」
「うん」

正直言って信じられない。
何もしなくても将来が約束されている花沢類が自らの意思で医学部に進もうとしているなんて。

医学部と言えば6年制。しかもあの大きな屋敷を離れて寮で暮らすなんて。
経営経済あたりに進んでも講義になんて出ることもあまりないんだろう、くらいに思ってた。
花沢類の口から飛び出した爆弾発言に驚くばかりだ。

「医学部に行こうとしてたなんて…全然知らなかったし気づかなかった」

花沢類はぽつりぽつりと医学部を目指すきっかけを話し始めた。
アタシを助けるために織部順平にボコボコされたとき、船から降りて刺されたときに道明寺が入院したが、その頃から医者の仕事というものに密かに興味を持ち始めたらしい。

特に道明寺が刺された時には一度心臓が停止した状態だったし、記憶も失った。
それからなんとなく医学について調べる機会が増えていき、家族に相談もせずに医学部を受験したのだという。

「だって、相当な反対にあったんじゃないの?」
「ん?ああそうだね。勘当同然かな」

花沢類はひとりっ子で兄弟がいるわけじゃない。
周囲からは当然のように花沢物産を継ぐと思われていただろうし反対も大変なものだったに違いない。

「俺も自分で驚いてるよ」
「え?」
「だってそうだろ?会社を継ぐためだけに英才教育を受けてきたわけだし、俺もそれが当たり前だと思ってたんだよね」
「うん…」
「医学部を受験して合格はしたけど、最初は行くつもりはなかったんだ。どうせ行けないってわかってたし。でも司の親父さんが倒れてNYに行ったよね。あの決意を知って気が変わったのかも」

確かに道明寺の決意は誰もが驚く決断だった。
それでもあのまっすぐな目が本気だということを語っていたし、そんな道明寺をますます好きになったのも確かだ。

そんな道明寺の決意が花沢類にまで影響を及ぼしていたなんて…。

「それで、実際に行くのはいつなの?」
「うん、4月5日が入学式だから来週には寮に入ろうと思ってる」
「大丈夫なの?その…」
「なに?」

医学部に入りたいという意思と決意は理解できた。でもこの人が寮に入るとなると心配事は山のように浮かんでくる。

「だからさ、食事もそうだし洗濯とか掃除とか…。これまで全部使用人任せだったでしょ?これからは全部自分ひとりでやらなきゃいけないんだよ?朝だって誰も起こしてくれないし」
「そうだね。まあ、寮だから食事の心配はしなくてもいいかな。元々そんなにガツガツ食べるほうじゃないし、食べたいものがあれば出かければいいし」
「それにしたって…」

アタシの心配をよそにイキイキした表情の花沢類を見ていると、なんとかなっちゃうような気がしてくるから不思議。

「たぶん、俺はこっちにそんなに戻って来ることできないと思うからさ、牧野が来て俺の面倒見てくれる?」

「はっ?」


***


「ちょっとつくし、どうしたの?ボーっとしちゃって」

だんご屋のバイト中優紀が心配そうにアタシを見てることに気づいたのはそろそろお店も閉店かという時間になってからだった。

「ああ、ごめん優紀」
「ううん、今日は忙しくないし大丈夫だけど…なんかあった?」

さすが優紀。
アタシの微妙な変化に気づいてるなんて伊達に親友やってないよね。

「道明寺さん行っちゃったのが結構堪えてる?」
「えっ?」

正直、道明寺がNYに行ってしまってからのこの2週間は寂しいなと感じることもあったが、今日はそれどころじゃない。
心配してくれる優紀には申し訳ないけど、今は花沢類が医学部に入ることは言いたくなかった。

「いや、まあそれもあるかもしれないけどさ。そろそろ進路も考えなきゃなと思って。優紀は考えてる?高校卒業した後のこと」
「そうだね、なんとなく短大あたりに入って普通にOLやって、いい人に出会って結婚するって感じくらいにしか思ってなかったなぁ」
「そっか…」
「つくしは?大学には行くの?」

アタシに『大学』に行くという選択肢があるのかどうかもわからない。

「そうだね、行けるかどうかはわかんないけど大学には行きたいなと漠然と思うことはある。でもうちのこともあるしどうかなって感じかも」
「奨学金とかもあるし、大学に行ける方法なんていくらでもありそうだけど」
「うちがお金持ちならね、英徳大学に行くのが一番楽なんだろうけどさ。実は一番非現実的な進路だと思うよ」
「そっか…」

お店の奥から女将さんが出てきて、閉店するよう声をかけられた。
暖簾を下げてシャッターを下ろすと優紀とともに店を後にする。



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6 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
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2016.10.17 09:13 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
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2016.10.17 10:01 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016.10.17 14:38 | | # [edit]
やこ says..."じゅんこ様"
こんばんは。コメントありがとうございます。

私、一応つかつくのカテで頑張っておりますのよ?
私も類君は好きですが、坊ちゃんには遠く及びませんわよwwオホホ。
まあネタバレになりかねないのでこのあたりでやめときますが、まだ2話ですので気長にお待ちください。
コッテコテのラブバトルを目指したいと思います!
2016.10.18 00:14 | URL | #- [edit]
やこ says..."スリーシスターズ様"
そうなんですよね、坊ちゃん怪我多いんですよね。
それだけ暴れてたってことなんでしょうけど。

今回の連載は難しいテーマなんですが結構ノリノリで書いてるんです。
たぶんその理由がJaponismなんじゃないかと推測しております。
マスカレードでキュン死いたしまして…(笑)

Are You Happy?初回限定版予約しました。
2016.10.18 00:21 | URL | #- [edit]
やこ says..."kachi様"
コメントの奥深さに涙いたしました。
単にコテコテのラブバトルを書きたいと思って始めた連載にそこまで!となんだかお恥ずかしい…。
好きだから結構サラッと読んで楽しんじゃってますけど、けっこうつくしヒドイですよね、坊ちゃんよく耐えてる(笑)

ああ、えっとですね、もうネタバレになってしまうのでなんにも言えないのがとっても悔しいんですけどね。
今まで散々コメディで落としてきたんで、今回はちょっとみんなカッコよく書ければと思っています。

ああ、この先の展開お話してしまいたいww
でも我慢ww

どんな作家じゃ(笑)
2016.10.18 01:04 | URL | #- [edit]

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