Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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20years 父と子 最終話

ほらね。
やっぱり一緒に帰ってきた。

そりゃアタシが翼の時計をひとつだけ片付けちゃったのが原因で飛び出して行っちゃったわけだけどさ。そもそもの喧嘩の原因はふたりのビミョーな心の距離が原因だし。

いくらでも喧嘩して距離を縮めていけばいいのよ。
遠慮し合ってちゃ縮まるもんも縮まらない。

やっとのことでつぐみを寝かしつけ、喧嘩して何やら険悪そうだった父子が仲良く帰ってきたのを確認してベッドに入ると読みかけでなかなか進まない本を開いた。

寒いのに外でなにやってんだか。

家の中に入ってこない父子を思いながら、ウトウトし始めた時だった。

コンコンとノックする音がして、ドアが開く。

「母さん、寝た?」
「翼?おかえり。まだ起きてるよ。ウトウトしてたとこだけど」
「つぐみ、部屋に連れていくね。もうぐっすりでしょ?」
「え、あ、いや…いいよ。このままここで寝かせるし」
「もうすぐ父さん来るからさ…どうぞごゆっくり」

なんという余計なお世話だろう。
アタシも気持ちは若いつもりだけどいい加減ペースを落としてゆっくり寝たい。司だって明日も仕事があるだろうに…なんてタフなの?

「翼は優しいね。でも余計な気を回さなくていから」

ハハハと笑い、なんとか切り抜けようとする。

「そういえばさ」

翼がやけにしんみりした雰囲気で聞くので思わず起き上がって聞く。

「父さんと母さんって天体観測の思い出があるんだって?」
「ああ、そういやそんなこともあったね。天体観測ってレベルじゃないけど」
「土星見たって言ってた」
「うん、すっごく大きな天体望遠鏡でね。あの頃は司もバリバリのバカ坊ちゃんしてた頃だったね。付き合いをアンタのおばあ様から反対されててさ、銭湯でキレイになったばっかだったのに、道明寺邸の庭を匍匐前進して屋敷に入ったんだよね、懐かしい」

翼を見る。
司にそっくりな顔は必死で生きてきた20年の支えでもあった。
横道に逸れることなくここまで育ってくれたなと思うとなんだか泣けてくる。

「あーあ、また泣く」

気づかないうちに涙がこぼれ落ちていたようで、それに気づいた翼がティッシュの箱を渡してきた。
そのまま寝ているつぐみをベビーベッドから抱き上げ

「じゃ、おやすみ。ごゆっくり」

と言って寝室を出ていった。

「まったく…ヘンな気を回さないでよね」

再び布団に入り目を閉じると今度は

「オイ、愛する息子の好意を無駄にすんな」

と恐ろしい声が聞こえる。

アタシは寝てます。
起こさないでください。

「寝たフリすんなよ」
「・・・」
「オイ」

翼の好意、アンタが勘違いしてるだけだってば!
翼はゆっくり寝てくれって意味でつぐみを連れてったんだよね?
決してヘンな意味で連れてったわけじゃない!

背中のほうからベッドに入り込む気配がしたと思うと、大きな手がアタシのカラダのあちこちを蠢き始めた。

ああ、なんでこんなことになるのぉ?


***


自分の部屋のベッドにつぐみを寝かせると、リビングのゴミ箱に丸めてある論文を拾い、再び自分の部屋に戻る。
プリントアウトした父の論文をもう一度めくって読み直す。

完璧な状態に仕上げてある。

いつか自分もこんな完璧なモノを作ることができるようになる時が来るんだろうか。
父は生まれながらのビジネスセンスの持ち主だ。
これまで超えたいと思ったことなど一度もなかった。

―いつかこの人を超えたい―

自分に何ができるのかはまだわからないし、父と始めようとしているビジネスもまだ明確なビジョンがない状態だ。
今気合いを入れたところで何ができるのかはわからないが、とにかく目の前の論文をもう一度見直してみよう。

ボツができれば128MBのUSBメモリに入れていけばいい。

覚悟を決めるとパソコンを開き、Wordに文字を打ち込み始めた。


ガタンッ、ゴトッ


隣の部屋から時折聞こえる怪しい物音。

仲がいいのは結構だけど、もう少し年齢を考えないとね、父さん。


Fin



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5 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016.10.15 03:45 | | # [edit]
やこ says..."miumiu:『姫』様"
眠れないとは聞き捨てならないね!
その後ゆっくり眠れたでしょうか??

つかつくなのに読みに来てくれてどうも(人''▽`)ありがとう☆
2016.10.15 23:45 | URL | #- [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016.10.21 17:08 | | # [edit]
やこ says..."さとぴょん様"
ありがとうございます、好きと言っていただけるだけで昇天Ω\ζ°)チーン

「父と子」は終わりましたけど、どこか隙間を見つけてこのシリーズは大きくしていきたいと考えています。
ただ、ラブがあんまりね…。

このお話は元々ある二次作家さんのお話をベースにしているというか、その方のお話を私が書くならこんなのかなって感じで始めたんですよ。
このお話自体はまだ二次小説を大っぴらに書く前にコッソリ作ったものなんですけど( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
ただすごく書きやすいのは、自分も翼ほどじゃないですけど子供がいて親の気持ちがわかるからなのかなぁ。
あと、司が同年代っていうのもツボ。
オッサンの司に萌えない人もいるようですが、書きやすいんですよねー。

その結果、さとぴょんさんに気に入っていただけたので、嬉しいな。

また書きますね。いつになるかわかんないけど(笑)
2016.10.22 00:44 | URL | #- [edit]
やこ says..."ともみ様(拍手コメ)"
主人公がオリキャラになってしまっている作品ですが、今後も番外編が出る機会が一番多い作品だと思います。引き続きよろしくお願いいたします!
2017.05.15 11:35 | URL | #- [edit]

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