20years 恋が始まる 10 

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ではどうぞっ!



可奈の気持ちと自分の気持ちに気づいた翼は違う意味で悩んでいた。
家族4人で地下鉄に乗って通勤途中なのだが、やけに自分をチラチラと見てニヤリとする父と、心配そうに見上げる母親に居心地の悪さを感じる。

しかも会社に着けばすでに準備を始めている可奈がいる。
いったいどんな顔して会えばいいんだと頭が痛い。

常に何か言いたそうにしている両親と、今日は何を作って遊ぼうかとはしゃぐ妹とともに会社に到着、受付やすれ違う社員に挨拶されながら専務室のドアノブに手をかけ深呼吸。

カチャリ…


「おはようございます」
「おはよう」


それほど大きくないオフィスである。秘書室などという部屋はなく、パーテーション1枚で区切られた空間に好意を持つと思われる男女が1組。

翼は咳払いをしながら可奈に挨拶を交わし、通常業務の準備をする。


「今日は外出の予定はありません。書類の決済があるのと、先週の競合避止義務違反についての報告がFC本部から午後上がってくる予定です」
「わかった、ありがとう」


仕事モードの口調が居心地の悪さを増長するのだが、出社した以上きちんと仕事はしなければならない。


「ああ、お昼なんか予定ある?」
「?特にありません」


いつも司の作る弁当を持参している翼だが、今日は昼休みに可奈を誘うつもりで持ってこなかった。おそらく司はそのことに気づいていたのだろう、電車でのニヤニヤを思い出し慌てて司の顔を打ち消した。


「飯…行く?」
「え、うん。いいよ」


翼の口調がプライベートモードになると可奈も思わず応じてしまう。


「じゃ、休み時間になったら下で」
「うん、わかった」


とりあえず白黒ハッキリさせてスッキリしたい翼は可奈を誘いだすことには成功した。
呼び出して一緒に飯食ってどうするつもりなんだ俺は、と思いながら仕事モードに入っていった。


***


腕時計を見ると12時を過ぎていた。社員のほとんどが席を立ち思い思いの昼休みを過ごす。両親は昼休みまでベッタリで弁当を食べているのだが、普段翼は専務室の自分のデスクで資料を眺めながら食事を取ることが多い。

社長と専務、FC本部長が弁当持参ということでおそらく社員からは失笑されているんだろうと思うのだが、司の作る料理が美味いため外食をする気にならない。

世界的企業として名を馳せたグループの元御曹司はすっかり節約生活に馴染んでしまった。

先に出た可奈を追いかけるように翼も専務室を出る。廊下を歩くと社長室のドアがいきなり開いた。


「うわっ」
「うおっ」


同時に驚く親子だが、先に表情を変えたのは父親のほうだった。
司は翼を見てニヤリと笑うと


「勝負すんのか?」


とひと言。
面白がられているようで少しだけ腹が立った翼は、うるさいなぁ、ほっといてよと言いながらも父親の前を通りすぎて右手を上げた。


―頑張ってきます―
―オマエなら大丈夫だ―


父子として暮らすようになってからの5年を振り返り、司は成長した愛息のうしろ姿に頼もしさを感じていた。


「なに心で会話してんのよ」


社長室の奥からつくしは言った。うるせぇなと答えながらニヤリと笑う司に腹立たしさと羨ましさを感じながら言葉を続ける。


「なんかさ、アタシのほうがずっと翼と一緒にいるのに、オトコ同士ってだけで心で通じ合っちゃってさ。なんか納得いかない!」
「お、嫉妬か?」


つくしが嫉妬しているのはもちろん司に対してである。
ニヤニヤしながらジリジリと近寄る夫を見て思わず叫んだ。


「ココは会社だっつーの!お願いだからお昼休みに発情しないでよ!!」









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2016/09/02 (Fri) 23:47 | REPLY |   

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