Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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Take it easy! 第37話


「離婚する意味って…そりゃ道明寺グループがモメるってことでしょ」

「もうとっくに揉めてる」



道明寺の話はこうだ。

グループの一切の役職を辞任し、新たなビジネスを開始する。

新たなビジネスでは友里子さんと共同経営という形をとり運営していく方針であること。

資本に関しては、道明寺の個人資産を当て、道明寺グループとは完全に関わりなく運営していくということ。

これらのことを役員会で発表すると当然のことながら混乱し、会議は強制終了となったようだ。

すぐに楓社長と懇談し、友里子さんとの離婚や離婚によって道明寺グループと友里子さんの実家との関係が悪化しないための対策を練ったらしい。

一番反対すると思っていた楓社長だが、納得するのは早かったらしい。

その直後に事故に遭ったため、楓社長と西田さんが対応に追われたが、終息に向かって話は動いているようだ。

5年前、ウサギのぬいぐるみをもって病院に現れた時、普通とは異なる母親の愛情を感じたが、今回も鉄の女・道明寺楓なりの愛情だったのかもしれない。



「当然、ウチにも経営に異を唱える反対勢力はある。だから完全に騒ぎが収まるまで半年はかかると思う」

「当然でしょうね」

「牧野」

「何よ」

「すべてが解決して…友里子との離婚が成立したら…」

「したら?」

「オレと、結婚してくれ」



***



「するべきです、先輩」



道明寺を病室に連れて行ったあと、アタシは桜子の病室へ向かった。

病室にはすでに類と西門さんがいて、道明寺からのプロポーズの瞬間を見ていた美作夫妻によって一部始終が知らされていた。



「ほんと、司もあんたもどれだけ遠回りすれば気が済むのって感じ」

「司が結婚したって聞いたときは、鉄の女には勝てなかったかと思ったけどよ、今回はずいぶんすんなり離婚にOKサイン出したよな」

「俺達と連絡すら取らずに我武者羅にやってきたんだ、用意周到すぎてさすがのかーちゃんも逃げ道がなかったか…もしくは諦めたか…」

「俺は司のことを認めたんだと思う」



男たちの話を静かに聞いていた桜子は、抱いていた赤ちゃんをベッドに下ろすと強い口調でアタシに言った。



「先輩、これまでの5年が無駄になりますよ」

「無駄って…」



もうすでに諦めた5年だし、今からこの激流に飲み込まれる元気もない。

正直、ホテルの仕事はチーフと一緒ならやってもいいかもしれないと思い始めてるけど、その先に結婚があると思うと本当にこれでいいのか迷ってしまう。



「司のことは好き?」

「たぶん…好きなんだと…思う」

「なら行けよ、牧野」

「またやろうぜ、お嬢様レッスン。事業では役に立てねぇけどそれくらいならお安い御用だ」

「あのさ…俺牧野を見てていつも思うんだけど…」



類がぽつりと話し始めた。


「牧野はさ、いつもやる前から後悔することを恐れてるよね。やらずに後悔するよりもやって後悔するほうがよっぽどいいよ。俺、前に静を追いかけてフランスに行ったよね…まあ静とは結局うまくいかなかったけど今は行ってよかったと思ってる。ほら、思い出してみなよ、背中を押したのは牧野だよ?」



ガツンときた。

類の大事な言葉にはいつも重みがある。

確かにアタシはいつも逃げ道を作るところからスタートする。

こうなるのが怖いから、恐れてた結果になったときに傷つくのが嫌だからって逃げようとするところから始めてる。

道明寺のことは、結婚するほど好きかどうか正直よくわからない。

でもホテルの仕事には魅力もあるし、チャレンジしてみたいって気持ちが大きいのは事実だ。

アタシは拳をギュッと握った。



「みんな、ありがとう。アタシ、行ってくるよ」

「おう、司のホテルが潰れても、俺が拾ってやるから心配すんな」

「うん、その時はお願いね、美作さん!」

「司がダメ男だってわかったら、俺が慰めてやるよ、つくしちゃん」

「西門さんはヤダ」

「何もかもが嫌になったら俺のとこおいでよ、牧野」

「うん、そうする!」



桜子は何も言わずにニッコリ笑ってる。

そうだね、アタシは恵まれてる。

何もかも上手くいかなくたって、こんなに頼りになる人たちが近くにいる。

桜子の病室を出てエレベーターのボタンを押した。

扉が開き乗り込むと最上階に向かうエレベーターのようにアタシの気持ちもどんどん上昇していく。

廊下を力強く歩く。

すれ違う人はきっと、この女はなぜこんなに気合を入れて廊下を歩いているんだろうと不思議に思うかもしれないね。

道明寺のいる病室の扉の前で立ち止まり、大きく息を吸う。

エイッと気合を入れて扉を開くと、驚いたようにこちらを見ている道明寺がいた。

一歩一歩ベッドに近づき、道明寺のすぐ傍に立つ。



「アタシ決めたの。アンタと一緒に、ホテルの仕事がしたい」

「そうか…わかった」

「あと…」

「…?」

「今はまだアンタへの気持ちの整理はついてない。でも、逃げないで考える。きちんと考える」



気づいた時は右腕を掴まれ、道明寺の胸の中にすっぽりと収まっていた。

モヤモヤしてた気持ちが今は嘘のように消えてる。

これってアタシらしいことができたからだよね、みんな。

怪我している部分を慎重に避けて、アタシは道明寺の背中に腕をまわした。



「おかえり、道明寺」

「ああ、ただいま」



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