Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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20years それから④


「なによ…このお金…」
口をパクパクさせながら司と翼を交互に見ているつくしに翼が言った。
「『ふたつの貯金』のうちのひとつだよ。」
そういやそんなことを以前聞いたような。司が貯金するなんてと思って笑っていたが、存在すら忘れていた。

「ちょっと待って…『ふたつ』ってことは、こっちの翼名義のがそうなの…?」
翼はウンと頷く。
すると勢いよく振り向いて司をギロッと睨み

「なによコレ!アタシの稼ぎが悪いからって出してきたって言うの!?」
司はハァとため息をつきながら、つぐみを抱いてダイニングチェアからソファに移動してきた。
「言っただろ。これは20年間オマエと翼に対する慰謝料っつーか、生活費の精算っつーか。まぁオレがオマエ達のためにコツコツ貯めたカネだ。安心しろ、汚ねぇ金じゃない」
当時の司が『コツコツ』貯めていた姿は想像できないがそれにしても金額が大きすぎる。

「ちょっと待ってよ、じゃあそっちの通帳は…?」
もう知るのが怖いと動揺を隠せない。
翼が持っていたもうひとつの通帳をつくしに渡すと、深呼吸をしてページを開く。
「!!!!!!」
ついさっきまでチマチマと家計が火の車だと頭を掻き毟っていたつくしは、表示されている金額を見て気絶寸前だ。
「じゅ…じゅうおく…」
ちょっと落ち着けよ、と司がコーヒーを運んできてつくしに渡した。
震える手で受け取ると、どういうことなの?と司に尋ねた。

「これはオレの金じゃねえ。翼のもんだ。聞くなら翼に聞いてくれ」
オイだいじょうぶか?とつくしの背中をさすりながら司は翼に目配せした。
「母さん、このお金で父さんと事業を始めたいと思う」
「事業ってアンタ達…」

「ここんとこ父さんと出かけたりして、話を詰めてたんだよ。オレもいい年して母さんのスネかじってるワケいかねーし、本格的に父さんと一緒に仕事を始めてみようと思う」
「オレは何もしねぇよ。やるのはコイツでオレはサポートするだけだ」
「それで1年くらい家を空けるってこと?」
「そういうこと。始めるにはまだまだ時間もかかるし、調べなきゃならないこともあるしスタッフも探さなきゃ。第一の準備段階が落ち着いたから次のステップに進まなきゃならない。それにはココでくすぶってちゃダメだ」
少し前に見せられた『ふたつの貯金』にも驚かされたが、それ以上に何の相談もなくふたりだけで話が進んでいたことに憤りも感じた。

「何よ…ふたりしてなんでアタシに黙ってこんなことコソコソしてたワケ?!」
キタキタとオトコふたりで目を合わせると
「まぁ道明寺家のダメオトコ達の思いやりだと思ってよ」
ととろけるような笑顔でつくしをノックダウンさせる。

「なんか…アンタ達だけズルイ…」
何も知らされずに日々過ごしていたことに腹立たしさを感じていたつくしだったが、それ以上に腹の立つこともあった。
「だからってなんで1年もまた離れ離れで暮らさなきゃいけないのよ!なんで一緒に来てくれないかって言えないワケ?!」
「なんでってオマエ…」
思いもよらない言葉に、驚いたのは司だった。

「20年も離れて暮らしてたんだぜ?1年くらいどうってことねぇだろ?オマエとつぐみのこと考えたら、今はそれがベストじゃねーか?」
膝の上で握りしめられている拳を司は自分の手で包み込んだ。
20年の寂しさに比べたら1年なんてあっという間だということはつくしにもわかっている。それでも、バラバラだった家族がやっとひとつになれたのに、また離れ離れになると思うと気が狂いそうだった。

「ふたりだけなんてズルイ!アタシとつぐみも…連れていってよ!」



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