Beautiful days

花より男子を愛する自称永遠の乙女の妄想  ※現在、ブロとも申請を休止中
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20years 修正版⑪


世が世ならオレは大財閥の跡取り息子だたってことか…。

母さんが父親に関することを頑なに話そうとしなかったのもなんとなくわかる。きっと大金持ちだったろうから付き合うことに反対でもされてたんだろう。しかも牧野の家は貧乏を絵にかいたような家だったようだし。

つかさ つくし つばさ

なんだよ、思いっきり意識してんじゃねーか。

冷たい水で顔を洗うと鏡に映る自分の顔を見つめた。道明寺司を見てどこかで見たことがあると一瞬思ったが、なるほど。オレにそっくりじゃねーかと苦笑い。
しかもなんだあの髪型。遺伝しなくてよかったな…。

とにかく父親が生きていて、その父親が20年ぶりにオレ達の前に現われた。しかも母さんのことをまだ愛していて、ヨリを戻したいと来たもんだ。

あとなんだっけ?

ああ、財閥の中で唯一手元に残った会社を譲って、オレと新しい事業を立ち上げたいって言ってたな。

どうする、オレ。どうしたらいいんだ?

小学生やそこらなら、父親が突然現れても喜んで受け入れただろう。中高生だったならどうだ?少しは反発したかもしれねーな。
今オレは大学生。20歳。法的に認められたオトナだ。

あの細い身体ひとつでオレを一人前(と言えるかわかんねーけど)に育ててくれたし、就職したら少しは楽させてやりたいとも思ってた。

あの人とヨリを戻せば母さんは幸せになれるのか?

事業を起こしたいという話だって大学で経営とか経済とか学んでるオレにとっては魅力的で興味もある。
例え失敗してもやり直しはいくらでもできる。あの人の誘いに乗るのも悪くはない。

ただ母さんのあの人に対する態度はなんだ?
20年ぶりに会ったと思ったら思いっきり戦闘モードだったじゃねぇか?あんな母さんは、現場のオヤジ達と電話応対でやり合うときくらいしか見たことねぇぞ。

だけどなんだあの空気。本気でやり合ってるくせに、張り詰めた緊迫感?が全くない。まるで喧嘩しているのが当たり前のような…。

しかもあの美男美女軍団。あれだけ必死にオレに必死に説明するほどふたりのことを心配していたくせに、ふたりが顔を合わせたと同時に見届けることなく撤収したぞ?

店のカウンターに並べた5枚の名刺。

翼はその1枚を手に取り、書かれている電話番号をタップし始めた。



*********



20年ぶりに触れた司の唇。
最後にキスした時と全く変わっていない。

(いけない、離れなくちゃ…)

そう思っても離れられない。

「やめて…こういうこと」
頭を下げるようにして司の唇から逃れると、それだけ言うのが精いっぱいだった。

「ダメだよ、アタシ達は…もうとっくに終わってるんだから」
「オレはそうは思ってねぇよ」
顔を見てくれよ…という司の言葉に、恐る恐る顔を上げる。

「オレよ、お前が翼を産んでひとりで育ててるって聞いて、秘書に全部調べさせたんだ」
そうでしょうね、と頷いた。

「ちっせぇ翼を抱いてるお前の写真が手元に届いたとき、ちょうど財閥が一番ヤバイ時期だったんだ。そんとき思ったんだ。オレが守りたいのは財閥じゃねぇって」
「なんてことを…とんでもない経営者だね。そんなこと考えてただなんて従業員に同情するよ」
フザケンナとデコピンをして司は微笑んだ。

「会社はトップが変わっても簡単にダメにならないようにできてんだよ」
「経営のことはよくわかんないよ…」

「だから迷わずオレ、財閥は解体して子会社は全部売っぱらった」
「代々道明寺家が築いてきたモノをよく簡単に売れたもんだわ」

「うるせぇよ」
あれだけの大財閥の解体である。修羅場だったであろうことを笑いながら話すなんて…このオトコ…。

「オマエ、よく笑いながらそんな話できるなって思ってるだろ」
アタシ思ってるコト顔に出てたかな?と思いながら首を縦にブンブン振った。

「すっげぇ大変だったけど、オマエ達の写真見るとなんか元気出てよ」
司はジャケットの内ポケットから写真を1枚取り出した。

「これ…」

どれだけ眺めたんだろう。破れてこそいないが、あちこち傷んでボロボロになった、つくしが笑いながら翼を抱く写真だった。

「ほんとはもっと早く迎えにきてやりたかった」
つくしから写真を取り上げると、その写真を眺めて愛おしそうに眺めた。

「1年に1回会えるかどうかってわけわかんねぇうわべだけの家族じゃなくて、家に帰ると毎日出迎えてくれる家族がほしい、それがオマエ達であってほしいって毎日思ってた」
「道明寺…」
ここまでくるのに20年もかかったけどな、と笑いながら言う司を見て、つくしは切なくなって俯いた。

「オイすごくねぇか?オレの根性。20年だぜ、20年。しかも会ったこともない息子のためにいろいろ想像してニヤニヤして…ほんとらしくねぇ20年だったぜ」

「道明寺…結婚は?」
「ん?言ったろ。政略結婚の話はなくなったって。それ以後もシングル」

「一度も?」
「おう」

「バカだね…アタシ達じゃなくたって、家族を作ってくれたはずの人はたくさんいただろうに」
「言っただろ、オレはオマエじゃなきゃダメなんだって」

ほんとに…ほんとにスゴイよアンタの根性。
受け入れてあげたい。
でもね…アタシにとって20年ってそんなに簡単じゃないってこともわかってほしい…。



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