20years 修正版③ 


翼は本気で後悔していた。お見合いなんて滅多にできるもんじゃないし、友達に話して盛り上がろうなんて軽い気持ちで受けたけど、目の前にいる女性とは何もかも合わずこの時間が苦痛でしかなかった。
作り笑いもそろそろ限界かもしれないと感じていたころ、美佐子から電話が入り見合い相手とは体よく別れることができた。

「翼!どう?お見合いは」
現場からの電話なのか周囲でカンカンキンキンと音がするのが聞こえてくる。

「ハイ、まぁそれなりに…」
普段翼は美佐子に敬語など使わない。いち早く翼の様子に気が付いた美佐子は、

「ダメなんでしょ?もういいから切り上げていいよ。テキトーに話して帰っておいで」
好奇心から受けた見合いだったが、翼には美佐子の言葉が神の言葉にさえ聞こえた。

相手の女性に今日は楽しかったです、というようなことを言って切り上げ、ホテルのレストランを出て愛車の軽に乗ると、音楽のボリュームをいつもより大きめにして、今日のことは忘れようとばかりに大きな声を張り上げて歌い出した。

大通りに出て信号待ちをしているときに、こんなところにあったっけ?というようなオシャレなカフェが目に入った。オシャレとはほど遠い美佐ちゃんを今日のお詫びに連れてこようかな?いやオレにお詫びしてもらわなきゃ、か?などと考えていた。

「あれ?」
よく見ると知った顔がそのカフェで深刻そうな顔をして誰かと話している。




   『君、牧野翼君だよね?』
   『え…ああハイそうですけど…』
   『お母さんは牧野つくしさんで間違いないね?』

   人のよさそうな顔をしていたが、初対面のオトコに答える筋合いもないか、と黙っていると
  
   『今日家に帰ったら、この名刺をお母さんに渡してほしい』
   そういって名刺を翼の手に握らせた。

   しつこく話しかけるわけでもなく、爽やかに去って行く男性。
   年齢はちょうど母親と同じくらいだろうか?




「母さん…」
あんな困った顔の母親を見るのは、小学生の頃自分の父親に会わせろと駄々をこねた時以来かもしれない。
(相手は…誰だ?)
自慢の視力1・5で母親と話している相手を凝視する。

「アレ、あの人…」

(なんだっけ…名刺に書いてあった名前…)
ぼーっと考えていたらいつの間にか信号が青に変わっていたようで、後続車のクラクションで我に返って車を進ませる。


―美作商事 専務取締役 美作あきら―


そうだよ、この間俺に名刺を渡したオトコじゃねーか。


*********


「ずいぶんと久しぶりだな、牧野」
実年齢よりもずっと若く見える懐かしい顔をつくしは直視できずにいた。

「…そうだね…ずいぶんご無沙汰しちゃったもんね。美作さんは全然変わらない。今でもマダムと遊んでるの?」
目を見て話をすることができず、趣味のいいネクタイの結び目あたりに目線を向け、引き攣りながら無理に作った笑顔が痛々しい。

「オマエ俺をいくつになったと思ってる?40だぜ40。13年も前に結婚したよ。今は三つ子の親だ」
そういえばあきらの家には一卵性の双子の妹がいたっけ。産まれた子供が三つ子とは…驚きながらもまた目を見ては話せずにいた。

「翼っつーのは…」
ためらいながらあきらがつぶやくと、つくしは遮るように話題を変えようとした。

「滋さんとか桜子とかは…今でも交流あるの?!何も言わずに消えちゃったから気になってはいたんだよね」
「牧野」

「二人とももういい年だもんね。今度連絡入れてみようかな?あ、でも怒られちゃうかな?」
「牧野」

「西門さんは?まさかまだ『一期一会』とか言って遊んでないよね?」
「牧野!」
茶番はうんざりだ、と言わんばかりの表情であきらはつくしを睨みつけた。

「翼…オマエの息子、アイツの子なんだろ?」
震える手でコーヒーカップを持ち口に運ぼうとするが、左手を添えても震えてしまい茶色の液体が波打っている。

「言ってる意味がよく…わかんないよ」
それだけ返すのが精いっぱいだった。

「牧野、良く聞け」
震える手で持っていたカップをあきらが受け取ると、静かに言った。

「お前たちのこと、司は知ってるぞ」

「知ってるって…何がよ…」

「オマエが東京を離れた原因が、司の子供を身ごもったせいだってこと」









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6 Comments

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2016/04/02 (Sat) 10:37 | REPLY |   

やこ  

きな※もち様

マジで…マジで期待しないでください(・・;)
盛り上がりもなければカンドーポイントもなく…
シリアスなのかコメディなのかそれすら怪しい。
そんな恐ろしいシロモノです(笑)
ブロとも申請はブログを閉じた後からでもできるはずです。
お忙しい中お手数をおかけしますが、ごゆるりとお越しくださいませ(^▽^)/
心よりお待ちしております。

2016/04/02 (Sat) 10:57 | REPLY |   

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2016/04/02 (Sat) 22:21 | REPLY |   

やこ  

な※なあ様

楽しみにしないでください(・。・; (どんなお願いだ?)
次回作を作り出す時間稼ぎに公開したんですが、もうこっぱずかしくて(ド赤面)
残念ながら私の脳の構造では、つかつく以外のCPがどうしても生み出せませんでした(衝撃のネタバレ)
ワタクシのお友達は類つく派さんがワンサカなんですが、敵にまわしやしないかとハラハラしております(・・;)

2016/04/02 (Sat) 23:16 | REPLY |   

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2016/04/03 (Sun) 02:19 | REPLY |   

やこ  

星※様

こちらこそ面倒な手順からのご入室でお手数おかけいたしました。
私の認識違いであちこち不具合が出てしまい、あたふたしてこの時間まで起きているという始末…(・・;)
類つく、嫌いじゃないんですよ決して。
でもね類とつくしをくっつけてしまうと、司の扱いに困りませんか?絶対つくしを諦めるわけないし、諦めさせてしまうと登場させられないし(笑)
だからつかつく以外のCPでお話を書く人って、ほんとすごいなーって思っちゃうんですよ。
二次小説は完全な素人というよりも初心者ですから、つかつくしか書けません(笑)
「ご期待ください」とドヤ顔で言えないのが切ないところですが、楽しんでいただけるとお蔵入り作品も本望でしょう!
今後ともよろしくお願いいたします(*- -)(*_ _)ペコリ

2016/04/03 (Sun) 02:30 | REPLY |   

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