20years 修正版② 


「社長、何言ってるんですか?翼はまだ大学2年ですよ?就職活動すらまだ始めてないってのにどうやったらお見合いの話なんて出てくるんですか?」

つくしがこの地に来てから仕事だけでなく私生活でも面倒を見てくれている母親のような、姉のような女性が武内美佐子、この事務所の代表である。

「就職活動なんてしなくたってココを継いでもらう約束なんだし問題ないでしょ?それより翼は彼女とかいるワケ?」

美佐子はつくし同様独身で、大学で建築学を学んだあと女ながらに現場を渡り歩いた「ドボ女」の先駆け。50代とは思えない若々しさは、このオトコ臭い世界でオトコ達顔負けの仕事をやり抜いてきた自信からくるものだろう。

「あのね、美佐子さん。彼女がいるかどうかはアタシも知らないけど、どう考えたってハタチそこそこの大学生がお見合いなんて常識ハズレもいいとこでしょう?」

つくしは呆れながらそう答えると、ニヤリと左の口角を上げて美佐子が言った。

「なに言ってんの。アンタが翼の年にはもう立派にハハオヤしてたじゃない」

ほほー、そうきたかい

「そりゃ世間一般から見れば、アタシの人生のほうがよっぽど常識ハズレでトンデモ人生かもしれなけど…」

18歳で逃げるように東京から離れ、19歳で子供を産んでこの地で翼を育ててきた。
F4や滋さんや桜子にも行き先を告げずに今まで生きてきた。時折優紀とは連絡を取り合っているが、住んでいる場所は教えておらず、18で別れて以来一度も会っていない。

「だってさ、共同建設の社長夫人が翼を見かけたらしく、うちの娘に是非ってうるさいんだもん」

見てみなさいよ、と持っていたお見合い写真をつくしに手渡すと美佐子は両手を組んでニコニコと微笑んだ。
恐る恐る写真を開く。

「美佐子さん…」
「ん?」

「この人いくつ?」
「今年30歳だって!」

「アタシのほうが年齢近いじゃん」



*********



「母さん、この人いくつなの?」
お見合い写真をみた翼は「あり得ない」という顔で聞いてきた。

「29歳だって」
なんとなく「今年30歳」と言うのが美佐子に悪い気がしてあえて実年齢を答えたのに

「30とか無理でしょ」
あまりにもバッサリな息子につくしも苦笑い。

「だと思ったよ。いいよ美佐子さんにはハッキリ断っておくから」
写真を取り上げ、お茶でも飲みなと目配せする。

「でも美佐ちゃんの立場が悪くなるんじゃないの?」
我が子ながら気のきくこと、とつくしは思う。

「気を持たせてから断るよりいいじゃないの。30ならこの人も焦ってるはずだし」
「何気に毒吐いてるよ」
クククと笑うかわいい顔は、いつまでたってもつくしにとっては宝物。

「アンタその顔反則だから!」
自分で産んだ子なのにドキドキしてしまう自分は変態なんだろうか?と時折思う。

「ハイハイ、オレは昔っからの約束通り母さんと結婚して幸せに致しますから!」
翼はバカにしたように笑う。今度はなんだか切ない気分になってくる。

美佐子という最強の助っ人はいても、ふたりは片寄せ合ってここまで生きてきた。父親のいない寂しさや、夫のいない寂しさを紛らわすように。

翼は高校を卒業して大学に入学すると、車の免許を取って軽自動車を買い乗り回わすようになる。朝と夕方、職場の送り迎えもしてくれている。
身長が追い抜かれて見下ろされるようになると、いつかは恋人ができて自分から離れていくんだな、と寂しい気持ちになることもあった。

「じゃ、オレ美佐ちゃんに聞いてみるよ。立場っつーもんもあるだろうし、断るの前提だけど会ったほうがいいかどうか」
ニヤニヤ笑う翼はたぶん、初めてのお見合い話に興味津々なはず。会ってみて大学の友達にでも自慢しよう、くらいの気持ちなのかもしれない。

「会ってみてモーレツアタック受けて、そのまま結婚することになってもアタシは知らないからね」
もうアンタの好きにしなさいくらいの気持ちになってきた。美佐子だって本気で翼を結婚させたいというわけじゃなさそうだし、きちんと断ることができるなら勝手にして、という感じだ。

当の本人は鼻歌を歌いながらお見合い話は終了といった様子。
再びテレビに目線を戻すと、今度はハッと思い出したようにつくしを見た。

「そうだ、今日就職課から出てきた紳士が『キミは牧野翼くんだよね?コレをお母さんに渡してくれ』っていきなり名刺渡されたんだけど…知り合い?」

つくしの頭にはハテナマークしかない。アンタスカウトでもされたの?と言いながら名刺を受け取り、その名前を見て愕然とする。









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1 Comments

やこ  

星香様(拍手コメ返信)

あはは(>w< )
二次作家様も多くご覧になる場で、ホントにお恥ずかしいΣ( ̄ロ ̄lll)
小説は懲り懲り(>_<)
次回作までの場つなぎに使うという暴挙
皆さんの才能を改めて思い知らされました。

2016/04/02 (Sat) 02:26 | REPLY |   

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