Take it easy! 第10話 


「チーフ、お話があります」



すべてを知った以上この会社にはいられない。

退職の意思を示すためにアタシは残業時を狙ってチーフに話しかけた。

チーフは腕時計を見ると、10分後に会議室へ来いと言った。


衝撃の告白から数日、いつも通りしごかれながら仕事を続けているが、あれ以来チーフから道明寺の話はもちろん、付き合う云々の話は出ない。

さすが仕事とプライベートを完全に分ける人だと、妙なところで関心しながらも、いつかは話さなきゃとは思っていた。

こっちは変に意識しちゃって仕事がやりづらいっつーの。

残業はいつものことだが片付けなきゃならない仕事はそれほど多くない。

チーフもそれほど忙しいようには見えなかったし、思い切って声をかけ時間をもらうことにした。



コーヒーをふたつ持ち、会議室でチーフが来るのを待つ。

椅子に座って膝に握りしめた拳を乗せる。

その拳の下には数日前からバッグに入れていた退職届。


会議室のドアが勢いよく開き、チーフが入ってくると、アタシは立ち上がって会釈する。



「座れよ」

「ハイ、失礼します」

「なんだ話って」



おそらく話の内容は気づいているはず。

チーフはニコリともせずにアタシの正面に座った。



「お忙しいところすみません」

「前置きはいい。本題に入れ」



この人のこういうところが苦手。

高圧的な態度は英徳でだいぶ慣れてはいたけど、こっちの気持ちなんかお構いないところはいつになっても慣れない。

しかも相手は上司、文句も言えない。



「ハイ。じゃ、遠慮なく」

「…仕事辞めるのか?」



ほらきた。

こっちの言葉を待てないのかしら、この人。



「ハイ、わかってらっしゃるなら話は早いですね。辞めさせてください」

「意外と根性ないんだな」

「どう取ってもらっても構いません。でも事実を知った以上この会社で仕事は続けられません」

「辞めてどうするつもりだ?」



正直勢いでここまで来たことは否定できない。今後のことなど全く考えていないのも確か。

でもこれ以上周囲の目や道明寺とのつながりを詮索されながら仕事を続けていくのはごめんだ。



「まだ何も考えていません。会社を辞めることしか」

「俺はここで辞めても同じだと思うが」

「どういう意味ですか?」

「道明寺司みたいなタイプは、お前が会社を変えようとすれば先に手を回す」

「じゃあ、どうすればいいんですか?」



思わずムッとしているのが態度に出てしまったが、今更だしもう関係ない。



「だから俺と付き合えばいいって言ってんだろ?」

「おっしゃる意味が全くわかりません」

「道明寺司は今や妻帯者だ。いくらお前のことが好きでも接触することはできない」



予め用意しておいたコーヒーを飲みさらに言葉を続けた。



「結局お前が生活に困らないようにと就職を世話したワケだろ?なら男ができればその役目も必要なくなる」

「そんなことチーフには関係ありません」

「関係ないわけないだろう」

「なんで…!」



アタシが言い終わるか終わらないかというところで、席を立ち近づいてきたチーフに腕を掴まれた。



「いたっ!」



強引に掴まれた腕を引き寄せられると、アタシの唇にチーフの唇が重なっていた。









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2 Comments

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2016/07/10 (Sun) 14:18 | REPLY |   

千冬  

も*ち★様

はじめまして、ようこそ当サイトを見つけてくださりありがとうございました!
完全なる見切り発車でして、どういう結末にするか私もわかりません!
あ、なるほど。そういう展開??全く考えにありませんでした。
スタートしたばかりですが、どうぞ末永くお願いいたします!

2016/07/10 (Sun) 20:17 | REPLY |   

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