Take it easy! 第9話 


「支社長、こちらで最後の書類になります」



日本に戻ってきたが淡々と仕事をこなすばかりで、牧野に黙って結婚して以来、アイツの親友としか連絡はとってない。

類や総二郎、あきらから幾度となく連絡が入っているが今のオレには応じることができない。


西田に差し出された書類を読んで決済すると時計を見る。

19時。

久々に早くマンションに帰れるか。


帰国して以来、世田谷の道明寺邸には戻ってないし、妻となった友里子とは結婚式が終わってから一度も顔を合わせていない。

結局オレは今でもお袋の駒。

道明寺財閥を大きくする、不足している部分を補うアイテムでしかないらしい。



「本当にこれで最後なのか?」

「はい、本日は会食の予定もございません。お車の手配は済ませてありますので今日はマンションへお帰りください」



マンションへ…か。

誰もオレに屋敷へ帰れとは言わないんだな。

帰るつもりもないけどな。



「わかった。オマエも今日は上がるのか?」

「はい、そうさせていただきます」



西田は深く頭を下げると執務室を出て行った。

連日の激務で気を使わせていたかもしれないな。


実は牧野を捨てて友里子と婚約することが決まる直前、一番表情を曇らせていたのが西田だった。

牧野の親友、松岡がオレと連絡を取りたがっていることにいち早く気づいたのも西田だ。

お袋の秘書として冷酷に振る舞ってはいたようだが、一応オレのことを心配していたのかもしれない。



「司様…」



執務室から出たはずの西田が再び入ってきた。

このオトコがオレを名前で呼ぶ時はプライベートでの要件があるときだ。



「なんだよ、もう仕事はしねーぞ」

「いえ、実は、松岡様より連絡が入っております。急なご用件のようですが」

「わかった。折り返し連絡すると伝えてくれ」

「かしこまりました」



松岡とは牧野の近況を知らせてもらえるようにと頻繁に連絡を取り合っている。

プライベートの携帯番号も教えたはずだが、西田を通すのはなぜだ。

ジャケットの内ポケットからスマホを取り出すと、松岡の番号を見つけてタップする。



『もしもし』

「ああ、オレだ。すまないな。何かあったか?」

『いえ…。あの…道明寺さん、今お忙しいですか?』

「いや…。今日はもう帰る」

『教えていただいてるマンションのほうでしょうか?』

「ああ」

『あの、これから少しお話することはできませんか?』









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