Take it easy! 第5話 


「なんで…」



チーフの口から出た名前。

忘れもしないアタシが好きだったオトコ。



「有名だよ。お前道明寺の口利きでウチに来ただろ?」

「…!」



そんな…そんなこと聞いてない。

自分の実力で入れたと思ってたのに。



「もしかして知らなかった?」

「え?あ、いえ…」

「知らなかったみたいだな」



ふぅと一息つくとチーフは口を開けた。



「俺は部長から直々に呼び出されて聞かされた。失礼のないようにって注文つきで」

「そんな…」

「でも俺には関係なかったな。道明寺の口利きで入ったからって使えなきゃ容赦なく切り捨てるつもりだったし」

「……」

「現に相当しごいてるしな」



チーフが普段見せたことのない笑顔を見せた。

聞き捨てならない内容を聞かされているのに、実は思っているほど悪い人じゃないんじゃないかと一瞬不謹慎なことを思ったりする。

それにしてもこの入社に道明寺が絡んでいたなんて…。


アタシの中で何かが弾けた。



「…どい…」

「ん?」

「ひどいっ!!」

「ま、牧野?!」



ガチャンと大きな音とともに席を立ち、チーフを睨みつけた。



「どうしてそんな大事なこと今まで黙ってたの?!それで面白可笑しくからかって、さぞ楽しかったでしょうに!!」

「お、おい。落ち着けよ」



周囲に客もいる。

あたりを焦ったように見回しながらチーフが言うがもう止まらない。



「マジでアンタ最低っ!少しでもいい人なんじゃないかって思ったアタシがバカだったわ!」



驚いたように目を見開くチーフ。

だけど徐々にその目つきも変化しクスリと微笑んだ。



「お前、ほんっと面白いな」

「ああっ!?」



もうこれ以上この人とこの店にはいられない。

財布からお札を数枚出すと、力任せにテーブルに叩きつけ勢いよく席を立つ。




「ごきげんよう!!」




仕事をすぐに辞めるなんて根性なしのすることだと思っていたけど、道明寺の息がかかっていたと判明した上、あんな最低な上司の下にはもういられない。

バッグと上着を力任せに掴んで、店を出る。

それと同時にスマホをバッグから取り出しタップする。




『もしもし?』

「もしもし牧野です。忙しいところ悪いんだけど、ちょっと時間取れない?」









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