Whenever You Call  リハビリ小説第一弾 ④ 

「ちょ…誰にも見られてない?早く中入って!」

とにもかくにも誰に見られているかわからないとつくしは中へ入れと焦って言う。

「買い物に出てたの。とにかく座って」

エコバッグからいそいそと買ってきたものを取り出したり、マスクを外してうがいや手洗いしたりとつくしは依然と変わらず慌ただしい。

「西門さんも美作さんも…同じ日に入籍なんて、ニュース見てほんと驚いたよ、あんたは知ってたの?」
「いや…」

久々の再会だというのに、まるでそんな感覚がない。

「西門さんは元ミス英徳で、美作さんはもう10年も付き合ってたなんて、全然知らなかった」
「ああ…」

なんとも不思議な時間だった。
ふたりの時計は再び動き出したのに、時間が戻ったと思えば進んでみたりの繰り返しのような感覚だ。

パタパタと忙しく動き回っていたつくしだが、ようやくマグカップをひとつずつ両手に持って、司の前に腰をおろした。

「元気そうね」
「まあな」
「外暑いのに、ホットでごめんね」
「ああ、大丈夫だ」

当たり障りのない会話、というより単語の応酬のようで居心地が悪い。

「花沢類のところになんて赤ちゃんだもんね…なんか不思議な感じ」
「…」

どことなく落ち着かず、かといって何を言うわけでもない司に対して、しびれを切らしたのかつくしが沈黙を破るかのように尋ねた。

「今日は連絡もなしにどうしたの?来るなんて思ってなかったから部屋も散らかってるしなんかごめん」
「なんだよ、来ちゃ悪いのか?」
「そうは言ってないけど…ずいぶん会ってなかったのに、いきなり訪ねてくるから何かあったのかなって」

つくしの言い分は当然のことだ。
長い間連絡すら来なかった人間が、いきなり訪ねてきて目の前でモノも言わず話しかけてもろくな返事もせず、ただ機嫌が悪そうにただ座っているだけ。

「まあ、いいけど…今まで写真だけは取られたくないって会うのもすごく気を使ってたから…、今回はどうしたのかなって思っただけなんだけど…で、仕事は大丈夫なの?こんな真昼間からこんなとこ来て」
「今日はもう終わりにした」
「ふーん…」

司は考える。
今日ここに勇気をふり絞って来た理由を。

仏頂面してつくしを困らせに来たのか?
そうではない。

そして出た言葉が

「なあ、俺らも結婚しようぜ」

ちょうどマグカップを口につけてコーヒーをすすったつくしは、司の言葉を聞いて勢いよく噴き出してしまった。









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