Answer 62 

「そうね、本当にバカばっかり。あなたたちや私も含めてね。でもね…」

笑いながらそう叫んだあと、雪乃は司を自分のほうへと引き寄せ、首元に光るものを突き付けた。

「さあ、牧野さん。遺言書の内容を教えてちょうだい。これから誰よりもバカな復讐を始めるために、あなたの持ってる切り札が…必要なの」
「雪乃さんっ!そんなもの捨てて!ダメよ、絶対にダメ」
「殺しはしないわ。だって私はこの人の妻にならなきゃいけないんだもの。でも、話すことも動くこともできない…ただ息をしているだけでも道明寺司の妻になることはできる。死んだように生きて行くなんて考えたくもないわよね?そんな地獄をこの男に味あわせても構わないかしら?」
「ダメよ…そんなのできない…」
「やってみろよ」
「なんてこと言うのよ!」
「できないとでも思ってるの?私は息子を手にかけた親を持つ女なの。人を傷つけることくらいなんでもないわよ」
「やめて、やめてよ、わかったからもうやめて…」

完敗だった。

雪乃にほぼ遺言の内容がバレていて、目的は金銭ではなく司との結婚。
どのみち楓の遺言には、司の婚約相手としての雪乃に財産を相続させるという内容であり、ここで解放されたとしても、遺言を無効にする権限は誰にもない。

「わかった。保管場所を教えます。だから…道明寺を…彼を離して…」
「牧野!」
「物分かりがいいのね。みんなバカばっかりだけど…あなたは少し違うみた…」

雪乃が言い終わる直前のことだった。

バーン

大きな音がして、鍵がかけられたはずの扉が外れて室内に倒れた。

「待たせたな、司、牧野」
「いってぇ…骨折れてねーよな?あきら」
「あきら!総二郎!」
「よっ、ひさしぶり…って挨拶はとりあえず後でな、司。とりあえずその物騒なナイフを、こっちに渡して俺とデートにいかない?お嬢さん」
「いやいや、彼女に合うのは俺でしょ?人妻予備軍だし」

ニヤリと笑う男、ウインクする男。

「美作商事のネットワークを、なめんなよ!」
「と、言うわけで…えーとあと何人やっつければいいんだよ」
「知らね。とりあえず女子以外はやる」
「了解」

総二郎とあきらがまず一仕事をしたようで、部屋の外にはすでに数人の男たちが横たわっていた。
総二郎が雪乃のそばに近寄ると、横にいた男が向かってくる。

「西門さんっ!」

総二郎の長い脚がビュンっという音とともに男の後頭部にヒット。頭を抱えて倒れた男を蹴り飛ばし、雪乃の傍へ。力では敵わないと悟った雪乃は、素直にナイフを総二郎のいる場所向かって床に滑らせた。
受け取ったナイフで司を縛り付けているロープを切ると

「座ってないで、手伝えよ」
「うるせぇな、手伝うのはお前だろ?」

司もニヤリと笑って男たちを次々に倒していく。

「あきらー、そのレディ、逃がすなよー」
「逃がすわけないだろ?このあとおデイトだってのに」

余裕で軽口を叩いているように見えるが、総二郎もあきらもかなり苦戦していた。

「おい、何人いるんだよ、なかなか減らねーぞ?司」
「しらねぇよ、俺もさっきまで閉じ込められてだんだぜ?おい総二郎、邪魔すんな、あっちでやれよ」
「助けに来てもらってそれかよ…変わんねーな」

司も総二郎も、今はつくしを守り自分たちも無事にここから脱出することだけを考えていた。2年前からお互いに敢えて疎遠にしていたわだかまりなど元々なかったように。

そして総二郎は悟る。自分は日本にいない3人の代わりに、つくしを守るという使命を勝手に背負い込み、それを恋だと勘違いしていたのだと。

―全く、俺も女の扱いには慣れてるが、恋愛には相当向いてねーな…

総二郎がそんなことを思っていると大きな声でつくしが叫ぶ。

「み、西門さんっ美作さんっ!雪乃さんが…!」

総二郎とあきらがつくしの声を聞き振り返ると、予め用意していたのか隠しドアのような場所から雪乃と数人の男が姿を消した。
残った最後のひとりを気絶させた3人は、つくしを立たせると雪乃の消えた隠しドアを呆然と眺めていた。

「とにかく、このむさくるしい野郎共を全員拘束して、帰ろう」

あきらがそう言うと

「まあ、こいつ等に問い詰めたところで、トカゲの尻尾切りだろうけどな」

司も総二郎と同じことを思っていた。









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2018/12/26 (Wed) 15:04 | REPLY |   

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