Answer 55 

「ど、道明寺!?」
「うっ…」

意識が朦朧としている上に派手に突き飛ばされたせいか苦しそうに呻いている。

「ねえ、大丈夫…ですか?」

つくしは頭を抱えて転がる司を抱き起こし、とりあえず壁にもたれさせるとコップに水を汲んで飲ませた。

「お前…つっうッ…」

つくしがそうであったように、薬の類いをかがされそれが醒めつつあるときに起こる頭痛だろう。だいぶ意識はハッキリしてきたようだが、折り曲げた膝に肱をつき両手で頭を押さえて苦しそうにしている。
こんな時に話かけても鬱陶しいだけだということはつくしも身をもって経験済みだ。
落ち着くまで見守るしかないと、少し距離を置いて司を眺めていた。

「お前…」

どれだけの時間そうしていただろうか。
少し落ち着いた司がつくしに話しかけてきた。

「はい、何でしょう」
「拉致られてからずっとここか?」

まさか自分が連れ去られたことを知っている思っていなかったつくしは驚いた顔で司を見た。

「知ってたんですね…」
「ああ、滋が総二郎に連絡したのと、あとはうちのSPが」
「すみません、不注意でこんなことに」

謝っていることに不自然さを感じつつも、つくしは自分が迂闊だったことを素直に謝罪する。

「敬語…」
「え?」
「前から思ってたが、気持ち悪りぃからやめろ、もうお前はうちの人間じゃないんだし」
「はぁ…」

クビにした人間が何を今更、と思うつくしだが敬語を使うことでこの男との距離を取っていた部分もある。かつては愛した男だが、今は赤の他人だし今更馴れ馴れしくするのも気持ちが悪い。

「努力します…」
「……」

敬語を使わない努力など…とつくしは一瞬おかしく思ったが、今はそんな感情に浸っている場合ではないことを思い出す。

「西田とうちの人間がお前を探してはいるが…まさか俺が一番最初に見つけるとはな。しかも見つけたって脱出できねぇんじゃ意味ねぇし」
「副社長はどうして…」
「知るかよ、車に乗ったらガス吸わされて気が付いたらここだ」
「一応、食事は出されますけど、何が盛られてるかわからないからあたしは食べてません。水道があるんで水はなんとか…」

だいぶ落ち着いた司は、立ち上がって部屋のあちこちを物色し始めた。

「今、夜中だとは思うんですが、時間までは…」

司もつくし同様に携帯をはじめとする私物を奪われたようで、やはり正確な時間はわからない。

「黙ってこんなところに閉じ込められてるわけにはいかねぇんだよ…」

司が焦るのも無理はない。
道明寺グループ創業以来のピンチだと言うのに、自分がどこにいるのかもわからない状態で、楓亡き今そのピンチを救う人間はいないに等しい。
このまま拉致され続ければ、何もできずただ道明寺が終焉に向かうだけでいいことなどひとつもなかった。
閉ざされた窓を叩いたりドアに体当たりするなど出来ることは一通りやってみたが、体力を消耗するだけで何も変わらなかった。

「クソッ」

何をしても無駄だと悟った司は、その場に座り込んでしまった。


******


「なんで滋はまず総二郎に連絡なんてしたんだよ」
「だって!日本にいるのはニッシーだけじゃん」

自分たちの力ではどうにもできないと思った総二郎と滋は、こうした犯罪まがいの行為に対してネットワークのあるあきらの存在に行き当たる。
つくしが拉致されたときに日本にいたのは総二郎だけで、総二郎も滋もあきらに頼るという考えに思い当たらなかった。
一か八かであきらに連絡を取ると、すぐに日本に戻ってくることになり数時間後には二人の前に姿を現した。

「で?今ある情報ってのは?」
「それが…全然なの。一応車のナンバーは調べたんだけど、偽造だった」
「なるほどね。それじゃ防犯カメラの類いは?」
「今調べてもらってるところ」
「このことを知ってるのは?」
「司の母ちゃんの秘書の西田さん、あと牧野に付けてたSPか。警察にはまだ言ってない」
「なるほどね。で?牧野が拉致される心当たりは?」
「詳しいことはわかんねーけど、牧野が弁護士として知りえた道明寺の機密を握ってるからじゃねーかと思う」
「まあそんなところだろうな。司のところならば国家機密並みの重要案件だろうし…おい総二郎、電話鳴ってるぜ?」
「?ああ、西田さんからだ」
「司のところのか?」
「ああ…。もしもし西門です」

総二郎が西田からの電話を受け、しばらく話していると突然顔色が変わる。

「なんだって?司も?!どういうことなんですか?ええ、はい。はい。なるほど、それで心当たりは…そうですか。わかりました。美作がこっちに戻って来てます。ええ、このタイミングならふたりはたぶん一緒でしょう。まとめて探してみます。警察には?はい、そうですか、わかりました。それじゃ何かわかったら連絡ください、こっちもしますんで」
「総二郎…」
「司も行方不明だ!会社から戻る途中で姿を消したらしい!」
「まさか司がつくしを…」
「そんなわけねーだろ!よく考えろ!」

珍しく総二郎が滋を怒鳴りつけた。あきらが滋の方をポンと叩き

「総二郎、滋に当たるな。誰も悪くない、悪いのはふたりを拉致した奴らだろ?」
「…悪い…」
「ううん、あたしこそ…」
「まずは防犯カメラの映像解析を急がせて…それから…」
「ねえ、類君ってフランスだよね?」
「類?ああ、留学中だ。類がどうした?」
「ちょっと連絡取りたいの。あたし電話番号教えてもらってないから…」

あきらはスマートフォンを取り出すと、連絡先を滋に教える。

「ありがとう!司とつくしのことは…すごく心配だけどあたしはあたしにしかできない方法でふたりを助けるよ!あきら君、ニッシー、お願いね」
「ああ、そっちも頼んだぜ」

3人は必ずふたりを助け出すと誓い合い、それぞれの役割に向かって動き出す。









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4 Comments

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2018/12/24 (Mon) 09:29 | REPLY |   

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2018/12/24 (Mon) 09:44 | REPLY |   

やこ  

みわちゃん様

MaryChristmas!

コメントありがとうございます。
皆さんツッコミが鋭すぎて、オタオタしまくりのやこでございます。
本当なら「最後こうなりますよ!」って言いたいです(笑)
でも言えない(笑)言ったら誰も来てくれなくなっちゃうし(゚Д゚;)
皆さんが幸せな気分で新しい年を迎えられるようにと、必死で頑張りますので応援よろしくお願いします(^▽^)/

2018/12/24 (Mon) 12:50 | REPLY |   

やこ  

スリーシスターズ様

毎日、そして毎話ごとにきちんとコメントくださるのに、いつもこちらの都合でまとめての返信となり大変申し訳ありません。

やっぱり犯罪まがいの行為に対してあきらの持つ組織力は必要不可欠です。
このシーンは最初からあきらの登場をしっかりと盛り込んでおりました。
そして滋の行動。どうも類に連絡を取って何かしようと企んでおりますが…何事もないように祈っていてください。

ふたり同時に拉致られたことで距離感もグッと近づいたと思います。
自分で引き離しておきながら、やっとここまできたーと、更新されたお話を確認してホッとしていると同時に、ここからが勝負だ!と気持ちを引き締めております。

今年も残すとこと僅かとなりました!年明けまで引きずらず、年内に無理矢理でも終わらせることができるよう、長すぎる休みを活用しながら頑張りたいと思います✌

2018/12/24 (Mon) 13:03 | REPLY |   

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