Answer 54 

「どういうことだ」

静かに、でもあきらかな怒気を含んだ声で司は西田に詰め寄った。
その姿を見ていた雪乃が

「副社長、落ち着いてください…まずは話を聞きましょう」

西田は、つくしが滋に誘われてマンションを出たところ、何者かによって車に乗せられそのまま連れ去られたという話を司にする。
それ以上詳しいことはわからない、と続けると

「お前はそれを誰に聞いた」
「西門の坊ちゃんと、うちのSPです」
「…総二郎か…」

2年前から敢えて疎遠にしてきた男の名前を聞き、司の表情は曇る。

「まあいい。一般人のあの女が普通に暮らしてて拉致されることはないだろ?だとしたら道明寺に関わったことでこういう状況になってるんだろ。うちが責任持って居所を探し出すのは筋だろ」
「しかし副社長、今大っぴらに動けば…」
「西田、探せ」
「わかりました、手配します」
「俺は少し休む。何かあれば連絡くれ」
「かしこまりました…」

それだけ言うと司は西田の前から去っていった。
その場に残された西田は、再び総二郎に電話をかけようとしてスマートフォンをタップする。その時に一瞬雪乃の表情が変わったように感じられ、指を動かす動作を止めた。
西田の異変に素早く気づいた雪乃は、表情を元に戻し軽く会釈をすると司の消えた方向へ歩き出した。

「西田です。先ほどは失礼しました。副社長の許可が取れましたのでこちらも牧野様の捜索に取り掛かれます…それと…」
『どうしました?』
「少し気になることがございます。わかり次第ご報告しますので、もう少しお待ちください」


******


車に乗り込んだ司は大きく息を吐いた。
自分を裏切り捨てた女がどうなろうと構わない、一生憎んで生きていくと決めた時から、つくしのことを割り切ったはずだった。
なのに自分の前に弁護士として再び現れ、道明寺と深く関わっていく様子を見ていて憎しみとは異なるよくわからない感情が司に宿ったことも確かなことだった。

メチャクチャにしてやろうと思って無理矢理抱いてはみたが、心が晴れることはなくむしろ罪悪感だけが募った。

何も考えたくない、そう思って閉じていた目を開け窓の外を見るといつもの風景とは違っていることに気づく。

「おい、どこへ行くつもりだ?」

遮られた運転席と後部座席の壁をコンコンと叩き、運転手に行き先を尋ねようとするが反応がない。元々は防音の為の壁である、連絡マイクを使って運転席に行き先を尋ねようとしたときだった。
シューという音が後部座席にしたと思った瞬間に煙のような靄が車内に充満し始める。

「おいっ、なんだこれ!停めろ!」

窓を開けようとスイッチを押しても全く反応しない。

―やられた…

いつもよりも疲れていたのは確かだ。
ただ山本に指示せずその場に用意されていた車に乗ってしまったのは迂闊だった。

朦朧とする意識の中で、ひとりの女の姿が浮かんだ。
必至で追いかけようとする女の顔は、司の意識と共に次第にぼやけて見えなくなった。

―行くな、行かないでくれ牧野…

司はそのまま後部座席のシートに倒れ込んだ。


******


つくしの体内時計が正確ならば、拘束され監禁されてから丸1日は経過しているはずだった。
何よりドア越しではあったが3食きちんと与えられ、3食目からだいぶ時間が経っていることを考えると今は深夜、そう見当をつけた。

自分を監禁している相手が全く分からず、与えられた食事に何が盛られているかわからないことを考え、つくしは食事には手を付けていない。
正直空腹で気が遠くなりそうになることがあるが、それでもここで死ぬわけにはいかないとなんとか自分を奮い立たせた。

しばらくすると食事を差し入れられるとき以外、全く物音がしない空間がにわかにざわつき始めた。
ガチャガチャ、ドカン、ガンガンという音だけがして、声は全く聞こえない。
つくしはこれから起こる「何か」に備えて全身を強張らせ、身を固くした。

ガチャン、とひときわ大きな音がして全身黒づくめの男が、自分よりも大きな男を支えて部屋に入り、その男を室内に突き飛ばして再びドアを閉めて鍵をかけた。

「え…なんで…?」









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7 Comments

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2018/12/23 (Sun) 19:41 | REPLY |   

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2018/12/23 (Sun) 21:00 | REPLY |   

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2018/12/23 (Sun) 21:01 | REPLY |   

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2018/12/23 (Sun) 22:28 | REPLY |   

やこ  

りりあ様

こんにちは。
コメント返信が遅くなり大変申しわけありません。
思いがけずふたりは同じ部屋にふたりきりになりました。当然距離も縮まりますよね。
ここから怒涛の展開ですので、1日に3回と忙しい時期に大迷惑ですがお付き合いくださいね。
目指せハピエン!!

2018/12/24 (Mon) 12:35 | REPLY |   

やこ  

なあなあ様

こんにちは。コメント返信遅くなってすみません!

怒涛の更新にお付き合いくだいまして誠にありがとうございます。
今回のお話は私にしてはかなり異例
づくめでして。
まずシリアス。よくここまで書けてるなと自分でも不思議に思います。どちらかと言えばロマンスもあまり得意ではないですし、どうしても書きながら突っ込んでコメディに走りたくなる(笑)そして当て馬に類ではなく総ちゃん。あきらを当て馬にするよりは楽ですけど、イマイチ活躍しきれてない気がして…。救済はどうでしょうね…。優紀とどうにかなるのもアリなのかなとは思いますけど、私は総つくさん達とも仲良しなので、ちょっとね…って以前類をオリキャラとくっつけた私が言うなって感じです(笑)
サスペンス的な展開になってきているというご指摘もありますが、書いていても真相があきらかになっていく様子は痛快です。

そして嵐。
きましたね。もう絶対に行く。当選しなくても東京ドームに貼りつきますよ。
相葉ちゃんお誕生日おめでとー💚

2018/12/24 (Mon) 12:42 | REPLY |   

やこ  

まりぽん様

こんにちは。コメントありがとうございます(^▽^)/

怒涛の展開にお付き合いくださり本当にありがとうございます。
もう少しでかなりスッキリする(はず)ので、もう少々我慢してくださいね(笑)

楓さんが亡くなったことで、お話の展開もすごいことに。
私も早く皆さんにスッキリしていただきたく、1日3話更新に踏み切りました。
年末の忙しい時に迷惑な…(笑)
こちらは伏線回収にかなり必死です。
できるだけ取りこぼしのないよう、頑張って終わらせたいと思います(^▽^)

2018/12/24 (Mon) 12:45 | REPLY |   

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